第59話 集客UP実況中継―ピンチをチャンスに!
今回は困った末にやってみた策が好評で、売上UPしたお店のお話です。新型コロナウィルス感染拡大前の事例ですが、こういう考え方が今こそ必要だと思いますので、紹介させていただきます。
そのお店は、鮮度抜群の魚介類をふんだんに使った、各種定食が人気の和食店さん。夜はカウンターで寿司やお造りを楽しむ常連さんも少なくありません。席数は、個室、テーブル、カウンターあわせて50席ほどです。
県内に3店舗を展開している和食店ですが、最も郊外に出店している1店舗が苦戦中という事でご相談がありました。ランチは結構安定しているんですが、夜の売上が芳しくない(年々悪くなっている)のだとか。
最初にまず基本的な数字の把握から始めたのですが、店長から緊急課題があるとの事で、まずそのお話を伺うことにしました。
平日の夜のアルバイトが急にやめてしまうため、火曜と水曜の夜が人がいなくて困るとの事。しかし、毎週売上がへこむ火曜と水曜の夜は人を補充しないで、残りのスタッフで何とかするように、というのが本部の指示でした。
店長「この店の規模では、絶対無理です。この状態でお店を開けたら、お客さんに迷惑がかかってしまいます!」
店長は今そのことで頭がいっぱいです。まずそこを解決してあげないと、業績アップの取り組み提案には耳を傾ける余裕はないでしょう。
店長に気のすむまでしゃべってもらってから、私は切り出しました。
土屋「でも、お店の現状の数字を見る限りでは、人の補充は難しいですよね?」
店長「はぁ。まあそうですけど・・・」
土屋「だったら、できる方法を考えましょう。」
土屋「火曜と水曜の2日間、夜は奥の個室を閉めて、カウンター周りだけの営業にしましょう。そして、提供する料理も限定しましょう。お店で一番人気のあるジャンル(鮮魚、寿司)に限定して営業する事にしてはいかがですか?
もちろん、既存のお客さんには前もってしっかり知らせてください。そして、お店の入口にも、目立つようお知らせしてください。」
そこでこのお店は【火曜と水曜の夜はお寿司の日】という打ち出しで、平日の2日間、お店の料理もスペースも限定して営業を始めたのです。
店長は、おそるおそるお店を開けました。ところが、この緊急避難的な思い切った策が、かえって好結果を生みました。
実施から1ヶ月、それまで売上がへこんでいた2日間の売り上げが、見事にUP!
今では他の平日の売り上げを凌ぐ日もあるほどです。
しかし、人も席もメニューも減らし、魅力ダウンしたかに見えるお店が、なぜお客さんに受けて、売上UPしたのでしょうか?・・・
一番のポイントは
【現状を前向きにとらえて打ち出したこと】
「火曜と水曜は人が少ないので、こんなことしかできなくてすみません」
ではなく、
「お寿司大好きな人に食べてもらう日を作りました。ただし、二日間限定!」
というアピールをした事が好結果につながりました。
これを苦肉の策ととるか、新たな魅力の提供ととるかは、利用したお客さんの満足げな顔と売上を見れば明白でしょう。
さらに言える事は“一点集中”です。つまり提供できるジャンルを絞った事で、個性が際立ちお客さんにお店の“魅力”が伝わるようになりました。
店長が驚いたのは、「お宅って、カウンターで握り寿司が食べれるのね?」と言う声がちらほらあった事。(主に、お昼の和定食を毎週食べに来てくれていた常連の奥様達)
『ウチは寿司が評判のお店』と思っていた店長にとっては、驚きでした。お店の事って、スタッフが思っているより知られていないんです。でも「寿司の日」と言い切った事で、伝わったんですね。
また、不調だからこそ大胆な手が打てました。ガラガラのお店は、席を減らしても売上のマイナスにはなりません。だから思い切って席数を絞った。そのことで、適度な満席感や賑わいが出、活気がでてきます。お客さんもさらに集まってきます。そしてスタッフの士気も上がります。
その後このお店は無事スタッフの増員が認められました。もちろん「寿司の日」も継続中です(^^)
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【土屋先生からの一言】
業績が悪い時、何でもかんでもマイナスに思えてきませんか?でも、ピンチの時こそ、普段では出来ない大胆な“手”がきっと打てるはずです。
こんな時こそ【プラス思考】で前向きな発想を持ちましょう。業績ダウンが気持ちのダウンにつながると、なかなかいい“手”もうかびません。
“ピンチこそチャンス”その事を信じ【プラス思考】で手を打ってください。
きっと、予想以上の好結果が生まれるはずです。
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