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第130話 予想を裏切る

今回はお客さんの予想を超えるといいますか、いい意味で「予想を裏切る」と、とても好印象という話をしたいと思います。

それによって、お店の満足度がさらにアップしたり、口コミが広がりやすくなったりするのはもちろん、そのお客さんにとって“忘れられないお店に”なってくれる確率もグッとアップします。

もちろん提供する料理や接客のレベルが、競合他店に負けていないことが前提です。

大きく分けると二つのパターンがあります

予想を裏切る その1

サイズや量などがお客さんの予想を裏切ると、そのインパクトは抜群!

メニューやサービスそのものがそうなっているお店の多くは人気のお店になっています。

驚くボリュームのラーメン
肉汁あふれるハンバーグ
タワーのようなパンケーキ etc.

SNSの普及とともに、いわゆる“映える”メニューの開発が盛んです。お店のメニューをネット上で拡散してもらえるよう、各店しのぎを削っています。

SNSをきっかけに来店してくれた方が、実物を見て改めて感動し、またSNSでアップしてくれる、そしてそれを見た新たな方が来店してくれる、さらにその方たちもSNSにアップ・・・この繰り返しで、多くの方に拡散していきます。

ただし、この技、使える料理のジャンルが限られますし、真似される可能性も高いです。

そこで、

予想を裏切る その2

メニューそのものではなく、おもてなしやサービスにおいて、お客さんの予想を裏切るというのもありです。

【とある居酒屋さんでの事(私の経験)】

仕事仲間と軽く打ち合わせを兼ねて一杯やり、さあ帰ろうかという時になってスタッフに声をかけると、「テーブル会計なので少々お待ちください。」との事。

まもなく別のスタッフがやってきて、「お店からのほんの気持ちです、どうぞ。」と言ってカットフルーツが盛りつけられた小皿を人数分持ってきてくれました。

「!」

驚きと同時に、ちょっと感動しました。おかげで結構前の事ですがいまだに覚えています。

たしかに“ほんの気持ち”というだけあって、フルーツは本当にちょっとだけでしたが、予想していなかった事なので、とても印象に残っています。

【とあるイタリアンレストランでの事(友人の話)】
家族で食事を終えて、レジにて会計。するとスタッフの方が
「本日はありがとうございました。これ、よかったらお持ちください。」と言って、お釣りと一緒に、紙袋をくれたんだそうです。中にはフォカッチャが数個。

「!」

友人によれば、その後定期的に行くお店になったとの事。

こんな感じで、お客さんの予想を、いい意味で“少し”裏切ってあげると、とても印象に残ります。

あらゆるものが値上げになっている昨今、プレゼントやサービスはたとえ少しであっても厳しいかもしれません。

それなら、お店の人気メニューのレシピを差し上げるのはいかがでしょう?これもお客さんの予想を裏切ることになると思います。お気に入りのお店のレシピがもらえたら嬉しいですよね。

おもてなしやサービスにおいて、お客さんの予想を裏切るというこの技は、多くのジャンルで使えると思いますし、コストをかけなくてもできるものもあるので、それぞれのお店で知恵を絞っていただければと思います。

ただし、2点気を付けていただきたいことがあります。

【“少しだけ”がポイント】

あまりに豪華なモノ、高額な品を提供されると、お客さんは感動どころか『この後、何か売り込まれるのかなぁ』なんて心配をしてしまうかもしれません。お客さんの予想を“ちょっと”超えるぐらいがちょうどいいのです。

もう一つのポイントは、

【来て下さったお客さんへの“感謝”があるかどうか】

いくらサプライズでも次回使えるクーポン券では、ちょっと、ね・・・あくまでその日のご来店に対する“感謝”が伝わるものにしていただければと思います。


【土屋先生からの一言

人間の脳というものは、喜怒哀楽とセットになった出来事を、長らく記憶として保存しておく性質があるそうです。

あなたのお店でも、今日からお客さんにちょっとしたサプライズを仕掛けてみませんか?

“喜び”や“楽しさ”とセットにして、お客さんの予想を“少し”裏切ってしまいましょう。

お客さんにとって、あなたのお店がきっと【忘れられないお店】になると思います。


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