第131話 知名度アップより認知度アップ

「知名度」は、読んで字のごとく「名前が知られている度合い」を指します。店名が多くの方に知られている状態のことです。

一方「認知度」とは、そのお店が「どんなメニューやサービスが魅力なのか」とか「シェフや料理長や店長がどんな人なのか」など、中身について深く理解されている状態のことをいいます。

“名前が知られている”のが知名度で、“内容やその魅力まで知られている”のが認知度と覚えていただければ、わかりやすいかと思います。

世の中には同じ広告を仕掛けても、お客さんの反応がいいお店とそうでもないお店が存在します。

例えば、似たような立地の、同業の飲食店2軒が、同じ時期に、同じような内容で、同じ媒体に、同じようなボリュームで広告を打ったとしても、その反応に大きな差が出ることは珍しいことではありません。私も今までそういう場面によく遭遇してきました。

以前、某エリアで、その典型的な事例に出会った事があります。私がよく知っている2軒のお店が同じ月の同エリアのフリーペーパーにクーポン広告を出している事を知ったのです。

1軒は、県内に複数店舗を展開している、地元ではわりと有名なカジュアルレストランです(以後A店とします)

もう1軒は、オープンから1年ほど経った個人経営のキッチン。(仮にB店とします)

メニューの内容、価格帯も比較的近いこの2軒、どちらのお店もハンバーグステーキをメインに打ち出している点も似ていました。

どちらのお店も1ページに複数のお店の広告が掲載されているグルメコーナーに掲載されていました。こういうページの広告は一定のフォーマットがあるので、広告表現というか、キャッチコピーやデザインの良し悪しで反応に差が出る事はまずありません。

しかも、どちらのお店のクーポンも[飲食代10%OFF]という内容。

興味深い事例でしたので、両店とも知り合いだった私は、広告が掲載されたフリーペーパーが発行されてから2週間後くらいに、A・B両店の責任者にその反応を聞いてみました。

A店の反応は、10%程度だったそうです。平均的なレスポンスとの事でした。一方B店は2%。ご主人によればいい時でも5%いかないのだとか。

同じ媒体(地域のフリーペーパー)を使い、業種も業態も似通っている両店が、呼びかける内容も、クーポン内容まで同じなのにどうしてそんなに違いが出るのでしょうか。レスポンスの差は5倍!一体その差はなんなのでしょう?

料理の美味しさですか?A店はB店の5倍美味しいのでしょうか?

私はどちらのお店も利用したことがありますが、両店ともなかなか美味しいです。むしろB店の方がハンバーグの横に添えられている副菜や、ランチについてくるスープといった、いわば脇役にまで丁寧な仕事をしているな、という印象で、個人的にはB店の方が好みです。

また、フリーペーパーを見た方は、どちらのお店にも言ったことがない方も多いはず。料理の美味しさで差がつく事はないと言っていいでしょう。

実はこの差、知名度の“差”なんです。

A店は、地元では結構有名店。その名前を聞けば、利用の有無はともかく、多くの人が知っているお店。一方、B店はというと、毎週通っている熱心なファンはいるものの、一部の常連さんを除いて、その地域にお住まいの方の大半はお店を知りません。

ならば、お店の知名度あげればいいのでしょうか?しかし、ちょっと待ってください。

知名度アップは、大きなお店、資本力のあるお店、歴史のあるお店が一般的に有利です。規模が小さく広告宣伝費にお金をあまりかけられない、地域密着の個人店は不利と言えます。

地域密着のお店は、認知度アップを心掛けましょう。来店してくれたお客さんに、おススメのニューや人気のサービス、店主のプロフィール、店名の由来、さらにお店の思い といった、お店を深く知って&理解していただける情報を発信していきましょう。

しかも今時は多様なSNSやスマホの普及もあり、あまりお金をかけなくても伝えるツールはそろっています。さらにお店を知らない方にまで情報を届ける事も可能になってきました。

月に1回、100人のお客さんに来ていただくより、20人の常連さんが月に5回来ていただくお店を目指しましょう。客数は同じですが、後者の方がきっと客単価も粗利も大きいはずです。

そして何より、あなたをはじめお店のスタッフも楽しく&気持ちよくおもてなしができるのではないでしょうか?


【土屋先生からの一言

お客さんとの心の距離感、いつも近く保つよう、心掛けていただければと思います。


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