第60話 集客UP実況中継-意味を伝える

今回は、ある居酒屋さんのお話をしたいと思います。

新型コロナウィルスの感染拡大によって、昨年の春から夏にかけて、一時的に大きく売り上げを落としましたが、秋以降は常連さんに支えられて、徐々に売り上げが回復し、新型コロナ第5波も何とか乗り切ったお店です。

常連客のリピート率がとても高いお店で、コロナ感染拡大前は、週に3回4回利用してくださる“超”のつく常連さんも少なくありませんでした。

現在、イートイン客はたしかに減りましたが、昼時のお弁当や、仕事帰りに晩酌のつまみをテイクアウトするお客さんで結構にぎわっています。

特別立地がいいとか、とても珍しい料理やお酒を提供しているわけではないのに、このお店がこれほど常連さんをひきつけてやまないのはどうしてか?

実はこのお店の一番の強味はその おもてなし力 にありました。

とにかく、スタッフが良く気が利きます。一人客への配慮、カップルへの配慮、団体客の幹事さんのフォロー等々、多様なお客さんにきめ細かい対応をしてくれます。

人気店なので、いつもスタッフは大忙しなのに、気配りができている。これは相当お客さんに意識を向けていないと出来ないこと。そして、ベテラン社員もアルバイトもイキイキしています。

このお店の高い“おもてなし力”は、スタッフのモチベーションの高さにありました。

そしてそれは、オーナーが【意味を伝えている】からなんです。

一人客には“なぜ”声がけを多めにするのか?

カップル客には“なぜ”同性のお客さんに話しかけるよう意識するのか?

などなど、こうしろ、ああしろ、といった指示だけでなく、“なぜ”そうする必要があるのかをスタッフ一人一人にきちんと伝えていきます。

同じサービスを提供しても、意味が分かってやっているのと、形だけやっているのとでは、お客さんの受ける印象が大きく違うもの。

飲食店が【美味しい】お酒や料理を出すのは当たり前。それを【美味しく】飲み食いしていただいて初めて、わざわざお金を使って外食していただく価値がある、というのがオーナーの考えであり、こだわりです。

それには、おもてなしの力、人の力が欠かせません。そして、高いレベルのおもてなしを実現するには、接客技術だけでなく、“なぜ”そうするのかをきちんとスタッフに伝えることが大切。

一人客、カップル、友達グループ、会社の飲み会 etc.どんなお客さんにも【美味しく】飲み食いしていただくよう、細やかな気配りを徹底する。その結果、お客さんはお店に惚れてくださり、足繁く通ってくれるようになる。

コロナ禍で飲食業界に逆風が吹き荒れる中、業態変更等、様々な変化を模索する動きもありますが、このお店は飲食店本来の魅力を追求することで、多くのお客さんに支持され続けています。

それは今、売上の3割を超えているテイクアウトにも言える事。テイクアウトにおいても おもてなし力 を存分に発揮しています。

●スタッフの熱いコメント付き!手作りPOP

「〇〇弁当はあと〇個で売り切れです!」といった数量限定アピールや「おつまみセットのメインが今日から新しくなりました!」等の最新情報アピール

さらに「まずはソースをつけないでそのまま味わってみてください!」

といった、より美味しく食べていただくための一言アドバイス等、スタッフの気持ちを代弁する魅力的なPOPをほぼ毎日更新

●週明けには必ず人気ランキングを発表

 先週一週間の販売数ランキングベスト3を毎週月曜に発表

●晩酌セットの予告チラシ

 その日の夕方販売する晩酌セットの予告手書きチラシをお昼時に毎日配布

等々

コラム第58話でもお伝えしましたが、イートインと違い、テイクアウトは一瞬が勝負。このお店は目を引くPOPやランキング発表など、毎日の“おもてなし”の工夫でテイクアウトでもしっかり売上を作っています。

しかも毎日・毎週大変と思いますが、スタッフは前向きに取り組んでいます。

それはもちろん、オーナーが【意味を伝えている】からにちがいありません。

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【土屋先生からの一言】

作業手順を伝えるだけでは、スタッフのモチベーションは上がりません。

いい仕事をしてくれません。

お店の「考え方」や「姿勢」をふまえて、“なぜ”そうするのか?その【意味】をしっかり伝えてください。

いくら【美味しい】料理が提供できても、お客さんに【美味しく】食べていただけるかどうかは、スタッフの“おもてなし”次第ですから。


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