第49話 生き残りのカギは“ハレの日”

東京都に4回目の緊急事態宣言が発令されました。同時に沖縄県の緊急事態宣言も延長が決定しました。

しかも、期間は8/22までと長期に及び、最大のレジャーシーズンである夏休みの大半が含まれることになりました。

対象地域でビジネスをされている方をはじめ、多くの企業やお店が影響を受ける事と思います。

今回は、このような状況下で、地域密着の飲食店が生き残るには何がポイントなのか?という点について、あらためてお伝えしていきたいと思います。

まずはこちらのデータをご覧ください。

昨年、ファストフードなど一部の業態を除き、イートイン中心の飲食店はコロナ禍以前に比べおおむね3割~5割ダウン、という状況だったと思います。しかし、利用目的(利用動機)別に集計をすると全く違う結果が見えてきました。

普段の飲み会や、会社がらみの接待や宴会が大きく減少する中、特別な記念日やデート、家族の食事会などはむしろ増えていたんです。

このコラムでも機会あるごとにお伝えしてきましたが、地域密着の飲食店は


『今日は特別な日!美味しい料理や、心のこもった接客で、感動のひとときを楽しみたい、素敵な思い出を作りたい。』


と考えている人たちの受け皿になることが、とるべき基本戦略であり、生き残りのカギです。

普段使いの気軽な定食屋さんも、こだわりの専門店も基本は同じ。程度の差はありますが、
要はあなたのお店が

【お客さんの“ハレの日”にぴったりなお店かどうか】


がとても重要。

例えば、お子さんの誕生日・結婚記念日・彼女との初デート、といった“一大イベントデー”から、上司に褒められた・友達と仲直りした、といったような“プチハッピーデー”まで、私たちには様々な“ハレの日”が存在します。

そんな時、私たちは、大切な人とハッピーな時間を共有したいと思いますよね。どこで?その第一位が“飲食店”という“場”です。

しかも、上記のデータから見てもわかる通り、それはコロナ禍においても変わりません。

例えば、リーズナブル&カジュアルをコンセプトにしていた、創作料理店は鳴かず飛ばずの経営でしたが、誕生日ディナーのヒットをきっかけに、記念日専門レストランに生まれ変わり人気店になりました。客単価は以前の5倍! コロナ禍の今では“記念日” を祝うテイクアウトも大人気です。

近隣のビジネスマンの食堂として愛されていた、昔ながらの定食屋さんでは、毎月給料日後の数日間だけ『“上”定食』を販売、これをきっかけに、夏・冬のボーナスシーズンの『ぜいたく御膳』や、昇給昇進などを意識した『お祝い昼膳』などが次々にヒット、しっかり儲けの出るお店になりました。

もちろん、緊急事態宣言下においては、飲食店には時短要請やお酒の提供の禁止など、厳しい制約があるため、イートインの売上には限界があります。
しかし、一味違うテイクアウトの提供で、コロナ禍でも“ハレの日”需要は人気です

あるビストロでは『シェフお任せオードブルセット(1万円)』や、箱買い続出の『シェフアドバイス付きワイン販売』が人気に。ランチ向けのテイクアウトだけではできなかったイートインの売り上げ減少を見事にカバーしました。

昼時には行列ができる日もあった人気うどん店もコロナ禍でイートインが激減。そこで、元々賄だった“カレー”や“やきうどん”などをリメイクし、


【テイクアウト限定】

で販売。これが人気を呼んで、再び行列ができるようになりました。

たしかに、上記のような事例は、お客さんと良好な関係を築いているお店の場合かもしれません。

しかし、今このコラムをご覧になっているのは、史上最悪ともいえるこのコロナ禍を生き抜いてこられた方。お客さんと良い関係を築いていらっしゃるはずです。

最初はほんの少しでOK“ハレの日”を意識した提案をしてみてください。難しく考える必要はありません。

先日、ある居酒屋さんが、オードブルセットのテイクアウトに「オリンピックをお家で応援しよう!」という一言を加えただけで、注文が4割近く増えたそうです。

いろんな“ハレの日”をぜひ提案していただければと思います。
お客さんは“キッカケ”を待っています。


【土屋先生からの一言】

“ハレの日”ぜひ意識してください!なお、お客さんとの良好な関係づくりのポイントは、コラム第1話でお伝えした、「お客さんとの定期的な接触」であることもお忘れなく!

また、昨年12月新型コロナ第三波拡大の際、今やるべき事を書いたコラム第17話も併せて参考にしていただければと思います。


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