第99話 続・飲食ビジネスの今後を考える
同様のテーマで4話引っ張ってしまいましたが、今週はその締めくくりです。
このコラムを初めてご覧になった、という方は96・97・98話もあわせてお読みいただければと思います。
前回、コロナ禍がもたらした「価値の大転換」に対応した、具体策や注意点をお伝えしました。今回はコロナ禍で一層重要性が増した「不変の価値」について詳しくお話していきます。
この2年半に及ぶ新型コロナウィルスの世界的な感染拡大によって、私たちの生活には大きな変化がおきました。しかしそんな中でも、飲食ビジネスの基本はまったく変わっていません。むしろ【深化】しているといっていいでしょう。
「価値の大転換」の影響を受けない「不変の価値」
「不変の価値」とはつまり、飲食店経営の“原理原則”の事。私の言葉で言うなら
「お店のブランド化」と「お客さんとの定期的な接触」という繁盛の二大法則です。
この二大法則、実は15年以上前から提唱していますが、この2年半でその重要性がますます高まってきているというのが私の実感です。最近はこの法則を実践しているかどうかで、お店の優劣がますますはっきりしてきました。
不変の価値①【お店のブランド化】のお店選択に及ぼす影響力増大
これはコロナ禍における、顧客心理が大きく影響しています。外食機会が減り、たまの外食なら間違いのない店に、という事で、老舗や有名店などを選ぶ傾向がコロナ前より強くなっています。
ちょっとおさらいになりますが、地域密着のお店の“ブランド化”の第一歩は
【特定の利用動機で地域一番になること】です
世の中の多くのお店は、ミシュランの星付きとか、創業○○○年の老舗とか、カリスマシェフのお店、のような“わかりやすいブランド店”ではありません。しかし、そのような有名店に勝るとも劣らない素晴らしいお店はたくさん存在します。
そんなお店が“ブランド化”するにはこの方法が一番確実です。このコラムでも色々なお店のブランド化成功事例を紹介させていただきました。
そして今、お店のブランド化を意識して取り組んでいただく事が、コロナ前以上に重要になってきています。そうでないと、あなたのお店が美味しい料理と、心のこもった接客が提供できる素敵なお店であっても、なかなか選んでもらえない、という事になってしまいます。
特定の利用動機で地域一番 より意識していただければと思います。
もちろんブランド化というのは短期間で達成できるものではありません。そこで重要になるのが「お客さんとの定期的な接触」というもう一つの繁盛法則です。
不変の価値②【お客さんとの定期的な接触】がお店選択のカギ!
コロナ禍において、お客さんの多くは、知らないお店にはまず行きません。前述したようなブランド店か、自分がよく知っているなじみの店しか行かないという方が大多数と言っていいでしょう。
元々、地域密着のお店は、不特定多数に向けた集客ではなく、既存客、もしくはお店に興味を持っている方に向け、お店を忘れないでいてもらい、好意を持っていただき、いつかまた来ていただくための継続的なアプローチ「お客さんとの定期的な接触」を最優先で行ってください、というお話をしてきました。
そしてそれは、このコロナ禍でますます重要になってきました。
さらに、前回お話した「価値の大転換」を受けて、飲食店が取り組むべき「テイクアウト」「デリバリー」「通販」といった“物販”の分野では当たり前になっていることです。
通販では顧客リストを常に整備して、既存客及び見込み客に徹底したアプローチ
をしてきます。
デリバリー専業やテイクアウト専業のお店は、商圏内でポスティングなどの広告活動を常に行っています。さらに、コロナ禍でネット経由のオーダーも増え既存客のリスト整備とフォローもしっかりやっています。
これからの飲食店は、こういうところとも戦っていくのですから、お客さんのリストを保有していない&収集できていないお店はますます不利になってきます。
やれるかどうかとか、個人情報を集めるのはちょっと・・・とか言っている場合ではありません。顧客情報を収集してお客さんとの定期的な接触に取り組む事は、生き残るための必須項目と言っていいでしょう。
しかも、お店のブランド化には一定の時間が必要ですが、顧客情報の収集や、お客さんへのこまめな情報発信は、今日・明日からでも取り組めるはずです。
具体的な手法については、このコラムの1話~6話も参考にしてください。
■土屋先生からの一言
地域密着のお店は、特定の利用動機で一番を確立することを全力で目指してください。
と同時に、お客さんとの接触頻度を今まで以上に密に、細やかにしていただければと思います。
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