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第12話 ○○なら一番!

前回のコラムで、地域に根ざしたお店の“ブランド化”の決め手である、お店の“思い”を伝えていくには、“○○なら一番!”と思ってもらうことが重要というお話をしました。

もちろん、いきなり日本一とかでなく、まずは商圏内で一番を狙っていただければと思うのですが、実はここで間違えてしまう方が少なくありません。

そこで今回は、大手チェーンや老舗とは違う、地域に根ざしたお店ならではの「一番」の獲り方についてお話ししたいと思います。

何で一番を目指すのか

セミナーや勉強会などで「○○なら一番!と思ってもらいましょう、一番を狙いましょう!」とお伝えすると、

「うちのオムライスは一番です!」とか「とんかつNo.1を目指します!」「日本酒居酒屋一番でいきます!」といった、“料理や業種” で一番をアピールしていこうと考える方が少なからずいらっしゃいますが、実はこれ非常に危険です。

今時は、よほど珍しいジャンルでない限り、料理や業種の地域一番のお店はすでに決まっているはずです。これをひっくり返すのは至難の業。たとえあなたのお店の方が本当に一番美味しいとしてもです。

そこでおすすめなのが“特定の利用動機”で一番を目指すこと。例えば飲食店の場合、料理や接客だけでは明確な差別化は困難。しかし利用動機なら色々考えられるし、一番になれるチャンスは大いにあります。

それによって、なかなか差別化できなかったお店の個性が際立ち、覚えてもらいやすくなり、口コミが広がりやすくなります。これが、地域に根ざしたお店ならではの「一番」の獲り方です。

例えば、

1-1:手頃な価格の本格フレンチ△ → 「誕生日祝いに!」○

2-1:手打ちパスタと手作りデザートのお店△ →

   「結婚式の二次会に!」○

3-1:鰻と和食の店△ → 「七五三のお祝いに!」○

※実際に私がブランド化のお手伝いをさせていただいたお店の例です

ターゲットや利用頻度が限定されてもいいので、まずは狭いジャンル、特定の利用動機で一番を目指すのがおススメです。そのジャンルの売り上げだけではビジネスとして成り立たないぐらいの狭いところが狙い目。大手はまず参入してきません。その結果一番になりやすいのです。これがまず第一歩。

次に、人は何かで評判になるor一番になると、他の商品やサービスも優れているのではないか?と思ってくれます。そこで徐々に、利用動機の幅を広げていきます。上記のお店の場合、

1-2:「誕生日祝いに!」○ → 記念日専門レストラン◎

2-2:「結婚式の二次会に!」○ → パーティ専門店◎

3-2:「七五三のお祝いに!」○ → お祝い専門店◎

といったように、利用動機の幅を広げていきます。結果、最初は小さかった特定の利用動機での売上げが、業績に大きく貢献してくるようになります。

例えば、誕生日は年に1回しかありませんが、記念日ならたくさんあります。同じく、結婚式の二次会は少なくてもパーティの機会は多数。ポイントは、最初から大きな利用動機を狙わないことです。

次回は、『どうやって利用動機を絞り込むのか?』『今時の成熟した消費者にぴったりの利用動機とは何か?』についてお話ししたいと思います。

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