第36話 質問力
今回は、12年前は赤字続きで廃業も考えたレストランのお話をします。行列のできる人気店とか、坪月商〇〇万円!といった超繁盛店ではありませんが、コロナ禍の今もしっかり生き残っているお店です。
このお店の強みは何か?
料理も接客も高いレベルですが、地域の同業他店に比べて、圧倒的に突き抜けているというわけではなく、決め手とはいえません。
場所はローカル都市のさらに郊外の車でしかいけない場所にあり、フリー客の入店はなかなか見込めない立地です。
では、赤字続きでピンチだったお店が、なぜ生き残ってこれたのでしょう?
・リスト収集&情報発信による接触頻度アップ
・メニュー分析の実施~メニューの見直し&改善の定期的な実施
・常に2ヶ月先、3ヶ月先を意識した、販促計画の立案と実施
などの基本的な取り組みを地道に継続していただいたことが実ってのことではありますが、やはり一番のポイントは、
オーナーの“質問力”でした
初めてのお客さんなら、
「何を見て来てくださったんですか?」
常連さんなら、
「この間のDM見て予約してくれたの?」
といったような感じでまずは挨拶代わりの質問をさりげなく交わし、何がきっかけで来てくれたかをしっかりチェックしています。
彼にとっては、今や日々のルーティンになっていますが、やっているお店は意外に少ないのではないでしょうか?
予約にしろ、フリーの来店にしろ、来店のきっかけを確認するのは重要です。
さらに、遠方からのお客さんなら、
「〇〇市ならいいお店がいっぱいあるのに、どうしてわざわざこの田舎のレストランを選んでくれたんですか?」
常連さんには
「これだけ予算があったらホテルの有名レストランでも食べられるのに、なんでうちに来てくれたの?」
といったようなことをズバズバ聞いていく。
コース予約が大半の小さなレストランなので、確かに会話はしやすい。でも、心がけていなければなかなかできないことですよね。
さらに彼の“質問”は言葉だけにとどまりません。
常連さんや、会話ができるようになったお客さんには、タイミングを見て様々な“言葉以外の質問”を投げかけていきます。
「今度こんなのをやってみようと思うんだけど・・・」
「こういうサービスをされたら、楽しいかな?」
といった感じで、お試し料理やお試しサービスを提供していく。
で、お客さんの反応をみながら、
『このメニューはいけそう』『このサービスはイマイチかな』というように、新メニューや新サービスのテストマーケティングを行っているんです。日々の営業のついでに。
話し上手で、人なつっこい、オーナーならではかもしれないですが、元々は厨房で黙々と仕事をする料理人。お客さんとの会話は得意な方ではありませんでした。
実は、お店側の狙いと、お客さんの要望というのは往々にしてずれていることがあるものです。
彼は身をもってそれを体験しました。お店が不振に陥った時、自身の思い込みで、色々手を打ったんですが、ことごとく空振りに。結果、お店は中々不振から脱することができませんでした。
このお店が再生を果たしたきっかけはやはり、お客さんが何を望んでいるのかを知ることでした。その時に養われたのが“質問力”。
去年から取り組んでいるテイクアウトも彼の“質問力”のおかげで順調です。
「ランチセットの量、ちょっと少なくなかった?」
「肉料理をもっと増やした方がいい?」
「これ試作メニューだけどちょっと味見していく?」etc,
彼は今日もお客さんを“質問”攻めにしていることでしょう。
【土屋先生からの一言】
お店のどこが一番受けているのか?
実は、お店とお客さんで違うことが往々にしてあるものです。
お店は『自慢の料理が気に入ってもらっている。』と思っていても、
お客さんは『ホールのお姉さんが凄く感じがいい!』が一番かもしれません。
そしてそのズレを放置しておくと、やがて売上ダウンや顧客離れがおきてしまう事があるので要注意!
今日からあなたもぜひお客さんに質問してみてください。
『何がきっかけで来てくれたのか』『どこが気に入ったのか』等々。
あの超人気テーマパーク「東京ディスニーリゾート」でさえ、毎日園内で多くのキャストがお客さんに“質問”(アンケート)しています。
「ウチでは質問は無理!」とあきらめず「どんな方法なら質問できるか?」を考えていただければと思います。
※私が顧問先などに配布している「アンケート雛型」を進呈します。質問の一手法として、参考になればと思います。
【事務局より】
ご希望の方は、題名:【アンケート希望】本文:お名前をご記載の上、下記のメールアドレスに返信ください。
このチャンスを活かしていただければ幸いです!
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こちらまでお寄せください→ajimori@clock-work.net
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