第32話 値上げしても喜ばれるメニューづくり

今回は、コロナ禍で客数が大幅に減少している今、ぜひ取り組んでいただきたい、客単価アップについてお話したいと思います。

日本フードサービス協会によれば、2020年の外食産業全体の売上高は前年比15.1%減で、1994年の調査開始以来、最大の下げ幅との事。なかでも居酒屋・バーなどお酒メインのイートイン業態は約半減と深刻です。

お店の売上は、客数×客単価です。コロナ禍で客数が少ないのですから、客単価を上げる方向になんとかもっていきたいものです。

もちろん、安易な値上げはお客さんをさらに失ってしまいます。既存のメニューを見直し、より魅力あるメニューにしていくことが何よりまず大切。

ということで、前々回と前回の2週にわたって、魅力あるメニューづくりのために必要なメニュー分析の手法や、成功例を紹介させていただきました。

今回は、客単価アップのノウハウについてです。

前回のコラムでもお伝えしたとおり、まず大事なことは、「もっと儲かるようにしよう」とか「客数減を値上げで挽回しよう」ではなく、

【もっとお客さんに喜んでもらおう】

というスタンスで考えていただくことです

対策:既存メニューのブラッシュアップ

既存の人気メニューをより魅力あるものにする。これが最も成功確率が高く、結果も早くでます。

様々なお店でメニュー分析をしていただきましたが、その多くは人気上位のメニューの原価率が高め。そこで、人気メニューをいかにもっと喜ばれ&儲かるメニューに改善するか、がポイントになってくるのです。

具体例をあげてみましょう。

海鮮居酒屋

新鮮で美味い地魚とレアな地酒が売りのお店。一番人気は980円の「お刺身三種盛り」でした。海鮮系居酒屋の代表的な一品ですから、他店も力を入れていて、競争が激しいメニューです。このお店もつい力が入り、以前より原価率も上がり気味でした。

そこで、三種盛りを質量ともにグレードアップさせた「大将のおまかせ盛り」というメニューを1,480円で投入。三種にこだわらず、その日その日のおススメを提供することで、お客さんにもじわじわ人気が広がっていき、結果、お店の利益も改善!

三種盛りは断トツ1位の人気メニューだったので、メニューから外さず提供していましたが、1年後にはすっかり“おまかせ盛り”が主流に。今では「まずはおまかせ盛りとビール」と言われるほどの看板メニューに育ちました。

写真はイメージです。

和食店

鮪の高騰で悩んだマグロ料理専門店さんの話。メニュー分析の結果、売れ筋1位2位の海鮮丼と中とろ丼の価格を1.5倍にしました。もちろん、質量ともに豪華にしての新価格です。高級感のある専用の器も新たに用意し、別メニューと思っていただけるよう心がけました。結果、値上げで注文が減るどころか、どちらも注文数が以前より1割以上増え、予想以上の好反応!

ポイントは一気に増やすこと(見た瞬間に違いがわかること)量も価格も明らかに差をつければ、今までのメニューとの比較にはなりにくいものです。

イタリアン

ひと昔前の話になりますが、東京の高級イタリアンの事例。ランチが売り上げ・利益とも、思ったように上がらないとお悩みのお店をどう改善するかという、あるテレビ番組の企画でかかわったものです。当時そのお店のランチは3,000円と5,000円の2コース。でるのはほとんどが3,000円のコースでした。

そこで、さらに上をいく究極の7,000円コースを作っていただくことにしました。それまで8割のお客さんが3,000円のコースを頼んでいたのですが、3コースにしてからわずか一週間で5,000円コースの注文が3,000円コースの注文を上回ったのです!さらに7,000円のコースも5%程のお客さんが注文してくださいました。

もちろん、料理の魅力や価値がお客さんに支持されているお店でないと、なかなかすぐに結果は出ません。前述の3店舗はみんなそこをクリアしていたお店でした。


【土屋先生からの一言】

新価格の提示は、勇気がいりますが、思い切ってやることが大事です。

魅力アップしたうえでの価格アップならば、受け入れていただけるはずです。

繰り返しになりますが、

「値上げではなく、魅力アップをする」というスタンスで考えることが大切。

そして、お客さんが自店のどこに魅力を感じているか、を、きちんと把握しておくことも非常に重要です。

自店の強みを把握し、その強みを伸ばせる、戦略的な「値上げ」を考えていただければと思います。

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