第31話 お客さんに喜ばれてお店も儲かるメニューづくり(後編)

前回、新メニュー投入や、既存メニューの見直しをするうえで欠かせない、メニュー分析の方法を具体的に解説させていただきました。

※詳しくはこちらをお読みください。

今回はメニュー分析の結果、メニューの見直しを図って成功したお店の話をしたいと思います。

■和居酒屋の例

席数約50席のオフィス街にある、海鮮料理が売りの和居酒屋。結構人気のお店だったのですが、イマイチ儲かっていませんでした。

メニュー分析をしてみてまず分かったのは、出食数はともかく、売上高も粗利高も圧倒的に強かったのがコース料理(3コースあり)ということでした。3コース合計でなんと構成比40%を超えていました!

確かにコースがよく出るとは思っていたけれど、実際に数字を見て、経営者も驚きでした。さらに、単品メニューの中で「刺身の舟盛り」「伊勢海老の活け造り」など、その多くが宴会の追加オーダーで注文されるメニューも含めると構成比は50%を軽く超えていました。

ではそこに集中しようということで、一品料理の新メニュー開発にばかり力を入れていたのをやめていただき、コース料理の魅力アップと原価低減に集中してもらいました。結果、コースの売上・利益、さらには人気もアップし、しっかり儲かるお店になったのです。

■焼き肉店の例

創業60年超え、厳選した国産和牛にこだわった焼肉専門店。郊外のお店で、席数は約70席と結構大きなお店です。カルビが売りで、カルビだけで7種類あるお店。(和牛カルビ、ネギカルビ、角切りカルビ、壺漬カルビ、特上カルビ等々)価格は一皿700円から1,800円。

地域で一番うまいと評判のお店でしたが、周りに輸入牛肉を使った激安食べ放題の店が複数出店してきて大苦戦。対抗上、人気のカルビなどの一皿の価格を値下げしてしまったのです。

特に競争の激しかった、和牛カルビ(元々は一皿700円)などは原価率がなんと70%!これでは売っても売っても儲かりません。メニュー分析の結果でも出食数ランキングトップの和牛カルビは粗利高では下位に沈んでいました。人気メニューが儲からない、これはかなり厳しいです。新しい“メニューの柱”を見つける必要があります。

そこで私は、売上および粗利高ランキングで比較的上位だった“わいわいセット(人気のカルビを始め、鶏や豚やウィンナーなどをセットにした、主に小学生以下のお子様連れのファミリー向けのこのお店唯一のセットメニュー)に注目。

土屋「いったん値下げしたカルビやロースの値上げは難しいです。お店のメイン客層も変わってきました。(焼肉通のおじさんから家族連れへ)セットメニューのバリエーションを増やし、今のお客さんに喜ばれるメニューにしていきましょう。」

そこであらたに2ラインを投入。

食欲旺盛な若い人に向けたボリュームたっぷりの「ガッツリセット」

常連さん向けに、日替わりでレアな部位も提供される「プレミアムセット」

既存のファミリー向けの「わいわいセット」と合わせ、セットメニューを充実させました。

セットにすれば原価のコントロールもしやすくなります。

結果、店全体の収益が大きく改善。まさにお客さんに喜ばれて儲かるメニューになりました。

どちらのお店も分析結果にもとづく方向転換なので、リスクが非常に少ないです。また、スタッフに、ただただ『宴会予約促進』とか『セットをしっかりアピール』と言っても、あまりいい結果にはつながりません。メニュー分析を踏まえたうえでの新方針ですから、スタッフ全員納得です。結果、両店ともその後の好業績につながりました。


【土屋先生からの一言】

メニュー分析を踏まえ、見直しや改善を行う目的はもちろん、もっと儲けるため、もっと売れるため、ということなんですが、その際大切なのは、

『どうしたら、もっとお客さんを喜ばせるメニューにできるだろうか?』

というスタンスで考える事です。

満足度アップの結果としての価格アップなら、お客さんはきっと喜んでくれることでしょう。(ただ安いだけがいい人は離れていくかもしれませんが)

「税込総額表示の義務化」が目前に迫っていますが、メニュー分析~メニューの改善&魅力アップに注力していただくことで『税抜き価格をそのまま総額表示にして、泣く泣く実質値引き』なんて事も回避できるのではないでしょうか?

長くなってしまいました。次回も引き続き、メニューの話

「値上げを値上げと思わせない、メニューづくり」をお伝えしたいと思います。

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