第90話 値上げラッシュ2022
昨年の秋、このコラムで同じテーマを取り扱いましたが、この春も昨年秋以上に様々なモノやサービスが値上がりしています。多くのお店が頭を悩ませている問題だと思います。という事で改めてこのことについて筆をとらせていただきました。
今年になってからも様々な食料品や日用品、さらには光熱費や輸送費といったモノやサービスの値上げが続いています。背景には、原材料の高騰、円安、そしてウクライナ危機等の影響があり、今後もこの傾向が続くと予想されます。
電気やガスといった公共料金の再値上げも実施され、大手電力10社すべてが過去5年でもっとも高い水準に達しているのだそうです。
では、外食はどうでしょう?外食業界においても値上げの動きはあります。帝国データバンクの「主要外食100社」価格改定動向調査によれば、この1年で約3割が値上げに踏み切っているとの事です。
最近では、牛丼チェーンの「松屋」や「餃子の王将」がメニューの一部の価格改定を実施。「ケンタッキーフライドチキン」も6月と7月に、一部商品の価格改定を行います。
各社とも理由は原材料価格の高騰や物流費の上昇を受けてのこと。飲食店の原価率は18年ぶりに急騰していて、上昇幅は過去最大なのだとか。
そして、スシローも今年の10月からの値上げを発表。スシローが“一番安い皿”を税抜100円から値上げするのは、1984年の創業以来、初のこととなります。
一方消費者の反応はどうでしょう?
食料品や日用品等の値上げに対する消費者の対応については、全体の6割は値上げに伴い、購入頻度を減らすか価格の安い代替品を購入するという行動がうかがえます。
「頻度を減らす」で多いのは、インスタント麺や、スイーツ・デザート類あるいはコーヒーなどの嗜好品に見られ、「価格の安い代替品に切り替える」のは生鮮食品やティッシュ・トイレットペーパーなどが上位との事です。
外食においても値上げによる客数ダウンの懸念はあるでしょう。特に、食料品や日用品同様「より価格の安い(値上げしていない)お店に行く」とか「利用する頻度を減らす。」といった行動が起きる事が予想されます。コンビニ弁当などの、いわゆる中食系、さらには手作り弁当がそれらにとって代わるのかもしれません。
しかしそれは、日々のエネルギー補給のための安価な“食”を提供しているチェーン店の場合がほとんど。
他では味わえない味や、オンリーワンのおもてなし等々“代わりのきかない”地域密着の飲食店の場合は、ちょっと事情が違います。
今、外食頻度は、コロナ前に比べて明らかに落ちています。もちろん、自主的に控えているのではなく、コロナ禍でそうせざるを得ない状況が続いているため。要は、外食したくてもできない人が大勢いるのです。
なので、コロナの第6波がおさまってきたこの春以降、外食にもお客さんが戻りつつある状況です。そして、先週もお伝えしたように、価格も高目ですが価値の高いお店は大賑わいと言っていい状況です。また、客単価もワンランク上がっているという印象。
例えば、久々に大好きな鰻屋さんに行くなら、うな重の(並)じゃなく、(上)を食べよう!ってなりますよね。“おせち”のテイクアウトなども高い方から売れていきました。
私が言いたいのは
地域密着の飲食店は、“迷わず・恐れず”値上げをしてください
ということなんです。
平均賃金がこの30年間上がらない、節約が当たり前になってしまった我が国ですが、“代わりのきかない”地域密着の飲食店には、多くの方が『お金をもっと払ってでも行きたい!』と思ってくださっているはずです。
ぜひこの機会にメニューを見直してください。そして自信をもって、魅力アップ&価格アップをしていただければと思います。
私の経験で言えば、価格改定のお手伝いをした地域密着の飲食店で、その後業績が悪くなったとか、思った以上にお客さんが他に流れてしまったという例はまずありません。それだけ、お店の価値を認めてくれていたという事。
「ウチは普通の定食屋なので・・・」とか「どこにでもあるキッチンですから・・・」などとお嘆きのあなた、心配ありません。あなたがお店の商品(料理やおもてなし)に自信をお持ちなら大丈夫です!
あなたのお店を今以上に代わりのきかないお店に変えていく方法はあるのです。客単価アップ可能です。仕入れ価格や光熱費の高騰でピンチの今こそチャンスに変えていきましょう。
詳しくは来週のコラムでお話します、お楽しみに!
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