第75話 非接触×おもてなし

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が止まりません。感染力が強いデルタ株をさらに上回る感染力の強さで、日本中、いや世界中で猛威を振るっています。

時短営業や酒類提供の制限など、またまた、飲食店への規制が強化されてしまいました。こういう規制も本当に悩ましいものですが、より問題なのは人の気持ちの部分だと私は思います。感染が落ち着けば、時短営業などはほどなくして緩和or解除されるでしょうが、人の気持ちはすぐに元には戻りません。

そんな中“おもてなし業”である飲食店にも

“非接触”

の波が広がってきています。これはホスピタリティあふれる接客が強みの地域密着のお店には厳しい流れかもしれません。

例えば、大手レストランチェーンなどを中心に導入が進んでいるのが、配膳ロボット。すかいらーくはこのロボを2022年中に、グループ店舗約2,000店で導入すると発表しました。ワタミも「焼肉の和民」で配膳ロボを導入し、お客さんとの接触機会を減らす取り組みを行っています。

さらに、回転ずしの「くら寿司」では、来店予約から会計までをすべて機械で対応する、完全非接触の店づくりを進め、昨年末までに全店舗の完全非接触への移行を完了させました。

私自身も昨年12月に家族とスマホオーダーシステムや配膳ロボットを導入しているお店で会食をしてきましたが、中々新鮮な体験でした。

また、非接触の流れに拍車をかけているのが、飲食業界の人手不足!家族だけでやっているなどの一部のお店を除き、皆さんお困りと思います。

昨年10月の緊急事態宣言明けも、あちこちのお店で悲鳴が上がっていました。緊急事態宣言中はお客さんが来ないことへの悲鳴でしたが、今度は営業再開しようにも、スタッフが足りなくてお店が回らない、あるいは開けられない、という悲鳴でした。

昨年10月の帝国データバンクの調査でも、アルバイトやパートが不足していると答えたのは企業全体で25.1%でしたが、飲食店に限ると63.3%とたいへん深刻です。相次ぐ時短営業や営業自粛によって、予定していた賃金が稼げないため、アルバイトやパートが他業種に流れて行ってしまうのが主な原因と思われます。

・新型コロナウィルスの感染の長期化

それに伴う

・営業自粛等の影響を受けた人材流出による深刻な人手不足

といった事から、“非接触”の流れはますます加速しています。

ただし、完全な非接触型飲食店を作りあげるには、コストなどの問題から大手でないと着手できないのが現状。スマホによるモバイルオーダーシステムなど個人店でも取り組めるツールや仕組みがもっと充実してほしいものです。

一方、システムやツールの導入ではなく、今までのスタイルにちょっと工夫をして、非接触でありながら、心のこもった「人対人」のコミュニケーションを実現しているお店もあります。

地域密着店ならではの非接触の工夫その1

とあるワインバーの人気メニューに「6種類のワイン飲み比べセット」というのがありますが、感染拡大後は口頭での説明を省き、1種類ごとにその味わいや料理とのマリアージュなどを説明した、手書きのメッセージカードを添えるようにしました。私も体験してきましたが、なじみのある店長の筆跡で書かれたそのカードが1枚1枚しっかりお客さんとコミュニケーションをとっていて、ちょっとした試飲会に参加しているような気分になり、とても楽しめました。

地域密着店ならではの非接触の工夫その2

テイクアウト好調なある居酒屋さんでは。店頭の手作りPOPがお客さんをしっかりおもてなししていました。

「日替わり弁当はあと○個で売り切れです!」(「○」の部分が空欄になっていて、手書きで随時更新)とか「日替わり弁当のメインが今日からリニューアル!」といった最新情報をリアルタイムでお知らせしたり、

「まずはソースをつけないでそのまま味わってみてください!」等、より美味しく食べていただくための一言アドバイス等、マスク姿で店前に立つスタッフの代わりに、手作りPOPが道行く人や買ってくださったお客さんにしっかり“接客”していました。

地域密着店ならではの非接触の工夫その3

さらに、ママとの会話が一番の売りの、とある小料理屋さんでは「オンライン貸切コース」を計画中。一定金額のおつまみをテイクアウトしてくれたお客さん数名と日時を決めてママがオンラインで飲み会をするというもの。まずは常連さんに声をかけたところ、反応は上々だそうです。

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【土屋先生からの一言】

以上、最新のシステムに高額な投資をしなくても、今できる“非接触”orほぼ“非接触”はあるのではないでしょうか?あなたのお店ならではの心温まる“非接触”なおもてなしを工夫していただければと思います。


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