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第21話 集客UP実況中継【テイクアウトへの挑戦】
新年初コラムをお届けします。 今回は、コロナ禍の今、多くのお店が取り組んでいるテイクアウトに関して、あるお店の実践を通じて、私が気づいたことをお伝えしたいと思います。
テイクアウトを始めたのはいいが・・
とある創作和食店でのこと。料理が美味いと評判のお店です。多くの常連さんに支えられ、安定経営を続けてきましたが、今年は新型コロナウィルスの影響で、昨年の4月~6月は昨対を大幅に下回る売上げでした。
ご主人は、日本料理のお店で長年修業を積んだ後、自分のお店を持った料理人さんです。
テイクアウトを始めたのはいいが、売れないわ、儲からないわ、で困っているとの事でご相談をいただきました。
「いや~売れないどころか、色々大変になるばかりで・・・どうしたものか困っています。ウチのような店にはテイクアウトは向いてないんでしょうか?」
ご主人、すっかり元気をなくしている様子でした。
このお店、ランチ営業はしていません。夜の客単価は5,000円近いお店です。
商店街と住宅街の境目辺りにある、いわゆる隠れ家店。地元の呑兵衛なら知っている地域密着のお店です。
テイクアウトを始めようと思ったきっかけは、今年の春、緊急事態宣言発出に伴う、売り上げの激減でした。
こだわりの味がつまった自信作
周りは住宅地だし、ランチをやってほしいという声は以前からがあったので、早速お昼の弁当の販売を始めました。まずは、おまかせ弁当1種類、価格は780円とコンビニなどよりちょい高めですが、こだわりの味がつまった自信作。
しかし、さっぱり売れません。しかも、お昼の弁当とはいえ手は抜けない!ということで、調理時間も結構かかるし原価も高い。つまり、たとえ売れてもほとんど儲からないという状態でした。
売れないし、儲からないし、忙しい。これではお店を救うどころか、かえって足を引っ張ることになりつつあったのです。
うまくいかなかった原因と土屋先生からの進言
いったいどこがいけなかったのでしょう?もちろん、告知不足は否めません。
しかし、実はスタートから大きな問題がありました。テイクアウトといえば日々のお弁当、という単純な発想が間違いでした。
お店は、アッパーな創作和食店。非日常感がお店の強味。それが日常的なお弁当を提供していては、お店の強味が全く発揮できず、結果売れません。
そもそもここは、誕生日、還暦、合格祝い、出産祝いなどなど、お客さんの“おめでたい”を祝うのにぴったりなお店として人気なんです。
私は「お客さんはそこに魅力を感じて、お店に来てくれている。それなら、テ
イクアウトもその方向でいくべきです。」と進言しました。
そこでまず、現状のおまかせ弁当をやめていただき、お祝い料理、オードブル、パーティセットといった、自店の人気メニューをテイクアウトしていただく方向でメニューそのものから考え直していただきました。完成したのは3,000円~のお祝いメニューです。
3,000円のテイクアウト、高いでしょうか?日常のお昼なら500円の弁当でも高いと感じるかもしれません。しかし、例えば旅先での駅弁ならどうですか?最低千円ぐらいからではないでしょうか?
要は特定の“利用動機”(今回はお祝い)で支持されているお店ならテイクアウトもその方向で売れていきます。お客さんはそこを支持しているのですから。
店内告知はもちろん、近隣に『テイクアウト再開のお知らせ』をポスティングをしたところ、ぽつぽつ注文が入るようになりました。 昨年6月からテイクアウトを始め、8月にテイクアウトメニューを一新。8月は月商の15%ほどがテイクアウトになりました。しかも売上げは徐々にですが右肩上がりで増えてきています。
そして、このコラムを書いていた時に、ご主人から速報が入ってきました。
「基本和食なので、いつもクリスマスはだめなんですけど、今回は24日と25日の売り上げがなんと月商のほぼ2割でした!」しかもイートインは二日間で2組だけとの事。2020年のクリスマスは、多くの方が自宅で、このお店の“お祝いメニュー”で祝った事でしょう。
土屋先生からの一言
地域密着の個店・専門店さんなら、必ず価格や利便性以外の“必殺技”をお持ちのはず。そうでなければ生き残ってこれなかったと思います。
あなたのお店でも、お店の強味(お客さんに支持されている部分)をしっかり意識して、テイクアウトメニューを考えてください。料理から考えるのではなく、お客さんの利用動機から考えていただければと思います。
※コラム第12話も参考にしてください。
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