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第20話 集客UP実況中継【弱点克服は×】

新型コロナウィルスの感染拡大が止まらない なか 、 多くの飲食店さんが苦戦 されていますが、今回は、苦しい時に陥りがちなケースをご紹介します。


「ランチは良いけど・・」

「ランチはいいけど、夜の客の入りがイマイチで・・・」

「週末はいいけど、平日が・・・」

多くのお店でよく聞かれるセリフです。

私は決まってこう答えます。「売れている時にもっと売りましょう!」

「いやもうランチはお客さんいっぱいなんですよ。」

「週末は予約でびっしりです。」大抵こんな答えが返ってきます。

しかし、詳しく聞いてみると『毎日のランチタイム中ずっと満席』とか『週末は毎週予約で埋まっている』というお店はごく一部。やり方次第でまだ伸びしろはあるものです。

お客さんは「あなたのお店でランチが食べたい!」「週末はあなたのお店で過ごしたい!」と思ってくれているのですから、それに応えるのが成果を出す一番の近道。

弱点克服ではなく強味をもっと伸ばす、というのが地域密着の個店・専門店がとるべき戦略です。

※弱点を放っておく事でお店に悪影響がある場合は例外です。

私達はどちらかというと、弱点が気になるものです。

受験の影響でしょうか?あるいは日本人の特性でしょうか?

試験に受かるには、それでいいですが、実際のビジネスは違います。

弱点をカバーするのは、お店に十分体力が付いてからにしてください。

弱点克服に取り組む店の苦悩

2年ほど前にご相談を受けた、とある立ち食い蕎麦屋さんも弱点克服に取り組もうとしていたお店です。そこは駅も近く、人通りの多い好立地にありました。しかし、それだけ競合も多くオープン1年目から大苦戦。

味は、富〇そばや小〇そば等の有力チェーン以上。グルメサイトでも、3.5近いポイントを獲得していました。私も出張のたびに食べるのが楽しみだったものです。しかし、赤字と黒字を行ったり来たり・・・

店長「昼はいいんですが、夕方以降の売り上げがさっぱりなんです。」

私はまず、昼の一層の強化を提案したのですが、なにせ深夜まで人通りが絶えないにぎやかな場所です。夜を何とかしてほしいと、社長からの強い要望があり、まさに“弱点克服”をすることになりました。

夕方のちょい飲みニーズに対応した“晩酌セット”や、二軒目三軒目使いを狙った、軽い“アテ”の充実など、様々な試みをしましたが、反応はさっぱり。

苦戦中のお店

夜メニューも不発

強みを活かす強化策への転換

取り組みから3か月、現場は疲れ切っていました。そんな時店長から「土屋さんから当初指摘のあった“昼の強化”に取り組みたいんですが。」という相談がありました。

夜を強化したいという社長の要望とは真逆ですが、店長は『半年たって結果が出なかったら店を売却する』と社長に言われたらしく、社長の言う通りにやってダメなんだから、自分がいいと思ったことをやる!と開き直ったようです。

それなら、ということで、私は朝と昼だけの営業に絞ることを提案。

当時このお店の営業時間は午前11時から夜11時までの営業でしたが、午後2時までの売上げがその大半でした。そこで、思い切って朝7時から午後3時までの営業に変更。社長の説得や人員の手配など色々調整が大変でしたが何とかスタートしたのです。

出勤前のサラリーマン狙いの、おにぎりと蕎麦の“朝そばセット”や、常連さんに向けたお昼のワンランクアップメニューの提案も見事に当たり、本来なかった朝の売上げ獲得と、メニュー充実による昼の客単価アップ。さらに、営業時間短縮で人件費も削減でき、収支は一気に黒字に転換しました。「強いところを伸ばす」「売れる時にもっと売る」の成功例と言えます。

朝の賑わい

ワンランク上の昼メニュー


【土屋先生からの一言】

今はコロナ禍です。飲食店に逆風が吹いています。つまり、飲食店のスタイル(イートイン、お店でのおもてなし)そのものが、今や弱点になってしまっている、と言わざるを得ません。

では、コロナ禍の今、飲食店の強味は何か?

家では作れない美味しいものが食べたい→テイクアウト?デリバリー?

みんなと楽しく過ごしたい→お店主催のオンラインパーティ?

マスター(女将さん)と話がしたい→マスター(女将さん)とオンライン飲み会? 

他にもまだまだ強味はあるはずです。そういうところを伸ばしていただければと思います。

本当は誰もが外食したいんです!みんな飲食店が大好きなんです!

次週はテイクアウトに取り組んでいるお店の奮闘記をお伝えしたいと思います。

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