第23話 集客UP実況中継【折れない心】
2021年正月明け早々の1月8日、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県、さらにその6日後、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、栃木、福岡の2府5県に、緊急事態宣言が発出されました。
こういう状況になってくると、日々成果を上げるための具体的な戦術・テクニックだけでなく、お店の考え方・姿勢がとても重要になってきます。この難局にどう立ち向かっていくか、という覚悟と言ってもいいかもしれません。
私の知る限り、個人店さんや小企業の飲食店さんの場合、閉店・廃業の最大の要因は『(トップの)心が折れてしまう事』だと痛感しています。
リーマンショックや東日本大震災といった、大きなピンチの時もそうでした。
どんなに厳しい状況でも、心が折れなければ、ポジティブ思考や、逆転の発想で、何らかの打開策が見えてきたり、ピンチをチャンスに変えることができるものだと、自身の経験からも私は思っています。
新型コロナが我が国に入ってきて約1年、今が一番厳しい時ではないでしょうか?今回は、そんな中“折れない心”で“しなやかに、したたかに”生き残っているお店をご紹介したいと思います。
◆老舗和食店の“折れない心”
昨年4月7日、第1回目の緊急事態宣言が出されました。首都圏のそのお店はもろにその影響を受け、GWの稼ぎ時を挟んでお店は1か月近く休業という事になったのです。
しかし、毎日大勢の方が足を運ぶ人気店です。お店を休むといっても食材のストックが結構ありました。
ここでまず一つ目のチャレンジ!休業に入るまでの数日間、食材の店頭販売を実施しました。高級店なので、吟味された食材がいっぱいです。さすがに野菜や魚は無理でしたが、このお店が肉料理が中心のお店だったことは不幸中の幸いと言えました。
創業以来初めての試みでしたが、あの老舗の食材が買えるということで、常連さん中心に好評をいただき、用意していた食材は完売だったそうです。
しかし『これは長期戦になるかもしれない・・・』そう直感したご主人は、約1か月の休業期間、猛スピードで動き始めました。
初めての店頭販売が思いのほか好評だったのと、緊急事態宣言が明けても、今までのようにお店に食べに来ていただける保証はない、という不安から
1.テイクアウトの拡充
2.デリバリー体制の構築
3.ネット通販の準備
この3点を順次進めていくことにしたのです。
緊急事態宣言明け早々【テイクアウトをスタート】
秋には【デリバリーサービスの導入】
さらに11月からは【通販のモニター販売開始】
と、資金繰りやお店の感染症対策なども忙しい中、三段ロケットのように“折れない心”で、次々と対策を打ってきました。
また、直近の緊急事態宣言による時短営業の要請への対応も見事でした。
要請にそのまま従えば、以前より2時間時短になるはずだったのですが、ランチタイム後の14時から17時までの中休みをやめ、開店時間も30分早めて11時-20時までの通し営業に変更。
結果、2時間の時短営業のはずが、時短要請に従いながらも1.5時間の営業時間延長を実現!時短要請を“しなやかに”受け止め“したたかに”手を打った結果と言えます。
もちろん、ここまで決して順調な道のりではありませんでした。
でも、ご主人は“折れない心”で、新たな手を打ち、お店は健在です。
「今年のお花見は盛大にやりたいものですね。」
ご主人のチャレンジは続きます。
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【土屋の一言】
「お店はねぇ、もう無理!もうダメ!と思ってからがスタートなんだよ。」私が飲食店コンサルタントとして新米だった頃に出会った、とある人気居酒屋の店主から聞いた言葉です。
今は多くの方がそう感じていらっしゃるかもしれません。
我が国の感染症対策や経済対策へのお怒りやご批判はひとまず脇において、もうちょっとだけ考えてみませんか?
大切なのは、この状況でもお店に期待してくれているお客さんに、どうやったら満足していただけるかを考え続け、動き続けることだと思います。
(決して簡単ではないと思いますが)
残念ながら、非常時に一発逆転の解決策はないです。
外食自粛ならテイクアウト、外出自粛ならデリバリー、時短要請なら営業時間の組み換え、等々、地道な対応を積み重ねていくことが、お客さんに引き続き愛され、生き残っていく鍵ではないでしょうか?
あなたのお店を楽しみたい、と思っているお客さんのために考えましょう!“折れない心”で“しなやかに、したたかに”
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