第97話 続・ポストコロナを考える

先週のコラムで2年以上にわたる様々な制限や制約が、人々の気持ちや行動に変化を起こし、

「価値の大転換」が起こった というお話をしました。

と同時に「価値の大転換」がおきても変わらない

「不変の価値」  も明らかに存在するという事もお伝えしました。

今回は【続・ポストコロナを考える】と題し、こういった状況、すなわち

「価値の大転換」「不変の価値」

が同時に存在する事を認識したうえで、

飲食ビジネスは今後どうしてくべきか?

という点について、この2年間の様々なお店の取組をふまえ、私なりの考えをお伝えしていきたいと思います。少しでも参考になれば幸いです。

まずは「価値の大転換」にどう対応するかという点についてお話したいと思います。

コロナ禍においては

人と人との接触がリスク

と言われてきました。

飲食店というのは、お店に来ていただき、一定時間滞在して食事や飲み物を楽しんでいただく、というのがビジネスのスタイルでした。もちろん今後も基本は変わりません。

しかし、この2年で起こった「価値の大転換」の影響は大きく、この“変化”に対応していく必要も出てきました。

つまり、

お客さんが来店しなくてもor滞在しなくても売上が上がる仕組み

を構築することが重要なのです。

すでに皆さんの多くが取り組まれていると思いますが、テイクアウトやデリバリー、あるいは通販といった、イートイン以外の売上の柱を作ることが、まさにそれです。

当然売上計画も、

イートイン ○○○万円

テイクアウト ○○万円

デリバリー ○○万円

通販 ○○万円

といった具合に、各々売上目標をしっかり立てて取り組む事が必要です。

まずはイートイン以外で売上の10%を目指してください。そして、イートイン以外での売上構成比が20%を超えてくると、コロナの感染状況に一喜一憂することなく、業績がかなり安定してくると思います。これは実際この2年間の各地のお店の取組から見えてきたことです。

そしてこの、イートイン以外の取組を成功に導くカギが

飲食店の強味を活かすこと

なのです。

飲食店がイートイン以外で売上を獲得しよう、お客さんをつかもうとする場合、コンビニや弁当販売店やフードデリバリー専業店といった“物販のプロ”と商品(メニュー)だけで戦っては苦戦を強いられるでしょう。

飲食店の強味、つまり“おもてなし力”とセットでアピールしていくことが必要です。

特に地域密着のお店は、店主やスタッフの“魅力”でファンを獲得しているお店が多いはず。その“魅力”を商品に添えてテイクアウト等に取り組んでいただければと思います。

次に、コロナ禍でも変わらない「不変の価値」についてお話します。

この2年間で「お店のブランド化」「お客さんとの定期的な接触」という、私が提唱している“繁盛の二大法則”を実践しているかどうかで、お店の優劣がさらにはっきりしてきました。

「不変の価値」というより、ますますその重要性が高まっていると言った方がいいでしょう。

■“お店のブランド化”について

 知名度が高い

 ○○なら□□(店名)という評価が確立している

 メディアやグルメ口コミサイトなどのお墨付きがある

こういった条件に当てはまるお店の多くはコロナ禍でもランチ時ともなればウェイティングがでたり、夜も結構お客さんが入っています。

これはコロナ禍における、顧客心理が大きく影響しています。外食機会が減り、たまの外食なら間違いのない店に、という事で、有名店を選ぶ傾向がコロナ前より強くなっています。

もちろん、上記の条件に当てはまらなくても、特定のファンに支えられて、安定した売り上げを作っているお店もあります。しかし、そういうお店が以前より減ってきているとも感じています。

地域密着のお店ならではの“ブランド化”がますます重要になってきました。

■“お客さんとの定期的な接触”について

コロナ禍において、フリー集客のパワーダウンは、お店の情報発信にも大きな変化をもたらしています。不特定多数の方向けの告知はますます費用対効果が合わなくなりました。

一度でも来店していただいたお客さんに、お店を忘れないで、興味を持ち続けてもらい、また来ていただくためのアプローチがこれまで以上に重要になってきています。

顧客リストの価値もますます上がっています。

以上、飲食ビジネスは今後どうしてくべきか?についてお伝えしてきましたが、ちょっと長くなってしまいましたので、「価値の大転換」に対応した、テイクアウトやデリバリーなどの注意点や、「不変の価値」を自店で推進するにあたってのポイント等は、次週詳しくお伝えしたいと思います。


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