第25話 集客UP実況中継 地元愛

今回は、ある観光地の居酒屋さんのお話です。ご主人は集客UP塾の塾生OBで、もう10年近いお付き合いです。

元々は仕出し屋さんでしたが、12年ほど前、地元で水揚げされる新鮮な魚介類を売りにした、海鮮食事処としてリニューアルしました。

観光客で賑わう海鮮食事処の地元客対策

海水浴場や、有名な魚港にほど近いこの店は、夏休みには毎年多くの観光客で賑わっていました。

ただ、シーズンオフの秋冬は地域全体が静まり返るので、地元客にいかに来ていただくか、については地域の同業者の会合でも毎回課題にあがっていました。

しかし、夏は放っておいても行列ができるほどなので、その対応で精いっぱい。地元客対策はつい後回しになっていました。

しかし、去年はそうはいかなかった・・・

新型コロナの影響による、緊急事態宣言によって、GWに全く人が来ない!

そして、毎年最大の稼ぎ時である夏休みも空振り!

ご主人からのお電話

昨年の8月、ご主人から連絡が入りました。

「どうしたらいいでしょう?」久しぶりにお話ししたご主人の切迫した表情は画面越しにも伝わってきました。

まずやったのは現状把握です。

以前「また来ていただく動機づけが弱いので、お店の商品に階段を作ってください。それがまず第一です。」というアドバイスをしました。

そこはしっかり取り組んでいただけているようでした。毎シーズンごとにブラッシュアップしてきただけあって、魅力的なメニューになっていました。

この【メニューの力】

観光地の人気店では比較的少ない(?)【丁寧な接客】

そして、連絡先を教えていただいた方への【年6回のハガキDM】

といった事を基本に、これまで続いてきたのですが、コロナ禍で、春から夏の売り上げが激減し、状況が一変してしまったのです。

観光客は来ない!

地元のお客さんに利用してもらわないと、お店が立ち行かなくなってしまう!

長年先送りしてきた問題の解決が急務でした。

「海鮮食事処」のもう一つの強み

私はこのお店に、もう一つの強味というか独自の個性があったことを思い出しました。それは、ご主人の強い“地元愛”

お店のある海辺の町で生まれ、ご両親も地元の方。若い時一時的に東京に修業に出ましたが、それ以外はずっと地元です。

地域の歴史や、観光名所、地元のお祭り、グルメスポット等々、ガイド顔負けの詳しさです。ご主人から聞ける鮮度抜群の地域情報は、観光客にとってこのお店の魅力の一つでした。

また、詳しいだけじゃなく、地元の行事の責任者を買って出たり、といったことも積極的にやってこられた方です。

その熱心さには、地域を盛り上げたい、地元の魅力をもっと知ってもらいたい、という熱い“地元愛”が感じられます。

ご主人の地元を愛してやまない気持ちは、地域の方々(同業者にも)に支持されていました。

私は言いました。「ここはひとつ地元の皆さんに応援してもらいましょう!」

テイクアウトを中心に、地元の方向けの“おもてなし”メニューの準備が始まりました。お店の“美味しい”を自宅で味わっていただく『お家で〇〇(店名)シリーズ』の開発です。

おもてなしテイクアウト『お家で〇〇(店名)シリーズ』と手紙

このあたりは、元々仕出し屋さんだったことが幸いし、比較的スムーズに進みました。地元の方の非日常シーンを狙ったメニューをいくつか打ち出しました。

さらに、テイクアウトを利用していただいた方に、手紙を付けました。そこには、ご利用いただいたお礼とともに、地元への熱い思い、お店の窮状、お客さんへのお願いなどが綴られていました。決して上手くないですが、ご主人の気持ちを率直に表した“響く”文章でした。

これがきっかけとなり、テイクアウトを利用したお客さんから、周辺にかなりのスピードで、手紙の内容が広がっていき、テイクアウトの売上は伸び続けました。

今ではイートインよりテイクアウトの売上が上回る日もあるほどです。

【地元を愛せば、必ず地元に愛される】当然かもしれませんが、大切なことです。

地元の多くの飲食店が苦戦する中、このお店は何とか売上をキープしています。

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【土屋先生からの一言】

あなたは、地元の観光スポットや、歴史、グルメ情報などをどのくらいご存じですか?

地域に生活する方々や他のお店・企業などとお付き合いされていますか?(商売という視点ではなく地域の仲間として)

生まれ育った場所じゃなくてもOK。あなたのお店があるその場所が、お店にとっての“地元”です。

“地元愛”コロナ禍での売り上げ減少を止めてくれる、治療薬のひとつではないでしょうか?

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