第96話 ポストコロナを考える
このコラムもおかげさまで連載開始からまもなく2年を迎えます。これもひとえに読者の皆様の応援と、いつも支えてくれている味守りプロジェクトの仲間のおかげです。本当に感謝しています。
さて今回はこの2年間を振り返り、2020年に始まった新型コロナウィルスがこれまで私たちの暮らしや経済に与えてきた影響や、今後の「飲食ビジネスはどうすべきか」という点について、コロナ禍における各地の飲食店さんの取組(戦い)を見てきた立場から、私なりの意見を今週と来週の2回にわたって書かせていただこうと思います。
これまでのまとめでもありますので、以前のコラムと一部重複する部分もあるかもしれませんが、ご了承ください。
「新型コロナウィルス」の感染拡大がもたらしたもの
新型コロナの感染が始まって、すでに2年以上が経ちました。最近は比較的落ち着いている状況ですが、まだ完全に抑え込んだというわけではなく、期待されていた経口薬の最終承認もまだ先のようです。さらに、首都圏などでは、減少傾向にあった新規感染者数の前週比がプラスに転じたりと、予断を許さない状況が続いています。
とにかく、経済的には過去に例を見ないダメージです。私も約15年、飲食店専門コンサルタントをしておりますが、お店さんがこれほど悩み、苦しんだのは初めての事。
経済に与えた影響はリーマンショックより大きく、東日本大震災後クラスあるいはそれ以上と言われています。しかもまだ終わっていません。その影響は長期化し、出口が見えない状況です。
人と人との接触がリスク
「三密を避けてください。」「テレワーク・リモートワーク推進」「外食(特にお酒を伴う)は控えましょう。」「県をまたぐ旅行はNG」「ライブやイベントなど人の集まる催しは中止」等々、それまでの私たちの生活に大きな制限が加えられました。
結果、外食や旅行・観光等のレジャー産業を中心に様々な業界が影響を受けています。
そして、2年以上にわたる様々な制限や制約が、
人々の心に変化を起こし、
「価値の大転換」が起こった
のです。
2020年、首都圏を皮切りにテレワーク・リモートワークが一気に進みました。もちろん導入が難しい業種もありますが、2019年まで20%程度だったテレワーク率が2020年には47.5%に上昇したのです。導入がスムーズだった情報通信業ではなんと92.7%にまで普及しました。(総務省・通信利用動向調査より)
すべての業務がカバーできるわけではありませんし、テレワークやってはみたけど、やはり出社してオフィスで仕事をしたいと思った方もいらっしゃったことでしょう。しかし、(特に)首都圏をはじめとした大都市の通勤ラッシュから解放されて仕事ができる事のすばらしさに気づいた方も多くいらっしゃいました。
ちなみに私自身も2020年の夏ごろからオンラインでのコンサルティングを積極的に行うようになりましたが、ある日、午前中に長野の農家さんのコンサルティングをし、午後に沖縄の仕事仲間とミーティングをして、夕食は名古屋の自宅で家族と普通に食べました。この時「あ、これってまるで、ドラえもんのどこでもドアだ!」なんて思ったものです。
オンラインは決して万能ではありませんが、かなりの事がオンラインで可能だし、オンラインならではのメリットもあることを実感したのです。
飲み会などもオンラインで何度か参加しましたが、これはこれで楽しいものです。コロナ禍で普段会えない人同士が、マスクもする事なく、大声で笑って飲めるんですから。
昨年11月、あるインターネットのリカーショップが、20~50代の顧客約300名に聞いた「今年の忘年会参加意向アンケート」においても「忘年会に参加する」人のうち、25%近くの方がオンラインで参加すると答えています。
このように、何をするにもまずは“コロナ対策”というスタンスで2年以上生活してくると、私たちの心は良くも悪くも変化し、価値の転換が起こり、それが消費行動にも大きく影響してきている、というわけなのです。
しかし、もう一つ忘れて話ならないのは、「価値の大転換」がおきても変わらない
「不変の価値」
も明らかに存在するという事。
しかもその「不変の価値」はますます重要なものになってきたのです。
こういった状況、すなわち「価値の大転換」と「不変の価値」が同時に存在する事を認識したうえで、
飲食ビジネスは今後どうしてくべきか?
という点について、この2年間の知見と経験をふまえた私なりの考えを、
次回のコラムでお伝えしていきたいと思います。
お楽しみに!
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