第71話 オンラインの力
先週、先々週と2週にわたって、これからの(特にお酒メインの夜型の)飲食店の戦略や方向性について書きました。
そして、人と人との接触そのものがリスクであるコロナ禍においては、おもてなし業である飲食店でも、非接触が今後の流れだというお話をしました。
とはいえ、わざわざ足を運んでくださったお客様に、最高に心のこもった接客をしたいはずですよね。しかしそれは、お客さんにもお店のスタッフにもリスクとなり得るのです。このジレンマが昨年春からずっと続いているのが、この“コロナ禍”であるといえます。
ではどうやってお客さんとコミュニケーションをとるのがいいのでしょうか?
先週のコラム第70話の最後に「重要になってくるのは、オンラインでの接触を増やすこと」と書き、そして「まだ完全な答えは見つかっていません。」とも書きました。
その数日後、まさにそれを象徴する現象が起きたのです。
実は先週、音楽科に通う我が娘の高校生最後の大きな演奏会がありました。その打ち上げを家族でお祝いしようという事になり、会場にほど近いお店を候補としていくつかピックアップしました。主役は娘なので、彼女も店選びに参加。
娘が気に入ったのは、あるワインバー。いつもは何か決める時、なかなか決まらない人なんですがこの時は珍しく即決でした。
食事も結構充実し、感染症対策もしっかり実施しているお店をいくつかチョイスしたつもりでしたが、ほとんど迷うことなくそのお店に決定。
そして決めた理由を聞いて驚きました。「知っているお店だから」とのこと・・・???
娘は高校生です。選んでいるのは昼間は営業していない、お酒メインの夜型店ばかりなので、彼女が自分一人で、あるいは友達と行くことはありません。
普段、スマホでカフェやスウィーツのお店をインスタなどで色々検索しているようですが、お酒を飲むお店はまずみないはず。なのになぜ、その店を知っていたのでしょうか?
私の怪訝そうな表情をみて、娘が補足してくれました。
娘「ほら、去年うちで見てたじゃん。」
私もやっと思い出しました。実は昨年の秋、そのお店の周年祭はオンラインで開催されました。自宅での夕食時に、その様子を娘も見たんです。
見たと言っても、テーブルの横にノートPCを置いて、ガッツリ参加していた私の横でチラチラ見ていた程度なんですが・・・
店内の雰囲気や、店長のキャラなどが好印象だったとの事。
それが1年以上たった今、お店選びに影響するとは・・・オンラインの力を実感した瞬間でした。
もちろん、ハガキでも、メールでも、インスタの投稿やLINEのメッセージでも効果はあります。しかし、動画の情報量は圧倒的。行った事のないお店でも店内やスタッフの雰囲気が凄く伝わります。
オンラインでの情報発信の場合、インスタグラムもLINEでもFacebookでもフォロワーや友達がある程度(地域密着の個人店の場合、1,000名以上が一つの目安)集まっている段階で定期的に(できれば週5回程度)配信していけば、多くのお店や施設で実際の集客につながるという効果が出ています。
そこに動画による情報発信を組み合わせれば、さらに効果的!最近は各SNSもアップできる動画の長さも長くなる傾向があるのはそういうニーズが強まっているからでしょう。
ただ、忘れないで欲しいのは、発信する情報はお店からのお知らせだけでなく、お客さんとのコミュニケーション(いわば店内でのおもてなしの延長)と位置付け、伝える内容を意識してほしいのです。そして、お店を印象付け、お店をよく知っていただくのに最も効果的なのが「動画」だと思います。
また、世の中がそういう環境に慣れてきた、というのも大きいです。
全国の飲酒の習慣がある20~50代の方約300名に聞いた、今年の忘年会参加意向アンケートでも「参加する」人のうち、25%近くの方が忘年会をオンラインで参加すると答えています 。そして、こう回答した方の多くは、仕事もリモート化が進んでいるので、忘年会もリモートでOK。という意識のようです。
もちろん、いつもリモートなので、忘年会ぐらいは実際に会いましょう!という意見も結構聞かれます。その気持ちもわかります。
しかし、人と直接会うことがリスクという、このコロナ禍を長く経験してきた私たちの一定数は「仕方ないからオンライン」ではなく、「オンラインがいい」と感じていることを改めて気づかされたアンケート結果だと思います。
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【土屋先生からの一言】
オンラインの力、いかがでしょうか?ハード・ソフト両面において環境が整ってきた今、積極的に活用するチャンスだと思います。
来店時は極力非接触でも、オンラインでお店の魅力をたっぷり伝えていただければと思います。
<お知らせ>
このコラム(第71話)が、今年の最終号となります。来週(12/31)はお休みとさせていただき、新年1/7(金)より第72話をお届けいたします。
今年も1年お世話になりました。来年も皆様のお役に立つコラムをお届けできるよう努力してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
2021年12月24日 土屋 薫
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