第43話 お客さんの定義
今回は、あなたのお店の“お客さん”は誰?という話をしたいと思います。
実は最近、長年おつきあいのある焼肉屋さんで起こった“ある事”をきっかけに、改めてきちんとお伝えしようと思い立ち、筆をとった次第です。
そのお店は、人口減少が続いている、地方の小都市のお店。そんな地域にあって、安売りチェーンの攻勢も何とかしのぎ、ワンランク上の焼肉店として支持されてきた、創業50年を超える地域密着のお店です。
しかし、昨年春からの新型コロナウィルスの感染拡大の影響から、このお店も苦戦を強いられています。
「ホント最近はお客さんが減ってまして、誰でもいいから来てくれればありがたい!と、つい思ってしまいます。」
二代目の心優しい(優しすぎるといってもいい)ご主人は、いつもの小声で本音を漏らしてくれました。
しかし、そんなご主人の優しさがあだになった、ちょっと悲しい“事件”が先日起こったのです。
このお店は、10年ほど前から顧客リストの収集と定期的なDMを地道に続けていただいていて、今ではこのお店の集客の基盤になっています。
さらに、お誕生日を教えてくださったお客さんには、毎年“誕生月に使える特典”とともにバースデーカードを送っています。カードを持参してくれた方に、カルビかロースを一皿プレゼントするというものです。
“事件”はそのバースデーカードがきっかけでした。ある日、久々に来店してくれた顔馴染みのお客さんが、今年お送りしたバースデーカードと共に過去のものも何枚か持ってこられ(全部で4枚!)こうおっしゃったそうです。
「コロナでしばらく来られなかったから、前のもたまっちゃって、今度またいつ来られるかわからないから、今日全部使わせてよ。」
バースデーカードの特典の有効期限は2か月、実は今年のバースデーカードすら期限切れだったそうです。しかし、ご主人は、今回限り特別に有効ということで、対応されました。
あなたのお店で起こったと仮定して、一度考えてみてください。
期限切れのバースデーカードを4枚も持参したこの方は、お店の“お客さん”といえるでしょうか?答えはやはり「ノー」だと思います。
理由は二つ
その1
その人が、お店を本当に好きで、大切に思ってくれているなら、お店が困るようなことはしないはず
その2
この要求をのんでしまうことで、ルールを守り、お店に敬意を払ってきてくれている“本当のお客さん”より、ルールを守らない人の方が得をすることになってしまう
こういうことって、お店が思っているより意外に広まっていくものです。
後々、大事なお客さんを失いかねません。
このあたり、色々ご意見もあるかと思いますが、私がまだ駆け出しのコンサルタントだった頃、ある人気店のオーナーからお聴きした【お客さんの定義】
をここでご紹介したいと思います。私も大いに共感しました。
【お客さんとは-お客さんの定義】
・あなたとあなたのお店に敬意を払ってくれている
・新商品や新サービスを紹介したら喜んで利用してくれる
・あなたのお店を、すすんで他の人に紹介してくれる
この3つすべてに当てはまる方だけが、本当のお客さん
それ以外はお客さんと思わないし、積極的におつきあいしない。という決意で創業からやってこられました。最初は大変苦労されたそうですが、おかげで今通ってくれているお客さんは、大好きな方ばかりで毎日が楽しいとの事。
このお店、2か月先まで予約でいっぱいの超人気店です。
【お客さんの定義】いかがでしょうか?
セミナーなどでこのお話をすると『ウチでは無理です』とか『こんなに厳しくしたら、お客さんがいなくなっちゃう』といったご意見が必ず出ますが、果たして本当にそうでしょうか?
ちょっとここで、お客さんの立場になってみてほしいのです。あなたご自身が大好きなお店のことを思い浮かべてください。居酒屋さんでも、カフェでも、あるいはブティックやヘアサロン等でももちろんOK。とにかくあなたのお気に入りのお店に対するあなたの気持ちや行動を思い出してみてください。
お客さんの定義、3つとも案外普通にクリアしてたりしませんか?
【土屋先生からの一言】
あなたのお店の【お客さんの定義】は明確になっていますか?
こんな時だからこそ、守るべき大切なお客さんが誰なのかをしっかり見極めて行動して欲しいと思います。
あの手この手のサービスや特典で、つなぎとめるのではなく、お店の“考え方”や“姿勢”に共感していただくことが、本当のお客さんになっていただく王道です。
お店の“思い”しっかり伝えていただければと思います。
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