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第30話 お客さんに喜ばれてお店も儲かるメニューづくり(前編)
このコロナ禍で、飲食店はさまざまな制限を受け、多くのお店が客数減、売上減に苦しんでいます。しかし、今すぐにお客さんを呼び戻すのはなかなか困難。
地域や業種によってばらつきはありますが、2割から5割と言われている客数減をどうやってカバーするか、悩ましいところです。
とにもかくにも、お客さんが減っても(売上ダウンでも)、手元に残る利益をなんとかキープしたいですよね。それには既存のメニューを見直し、より魅力ある&儲かるメニューにしていくことが何よりまず大切です。テイクアウトやデリバリーも同じです。
今回は【メニュー】に関するお話を2週にわたってしていきたいと思います。
まず大切なこと
『メニューを見直し、より魅力ある&儲かるメニューにしていく』といっても、個人的な印象やカンに頼っていては、現状把握は難しいです。その結果、改善策も見えてきません。
まずは、全メニューの売上データをきちんと把握することが大切。それには、メニュー分析が必須です。
メニュー分析
メニューというのは、飲食店にとっての商品そのもの。この商品の良し悪しが売上や利益に大きく影響することは言うまでもありません。もちろん、新メニューの開発投入や、メニューの入れ替えなども、定期的に行っていかないと、魅力ダウンにつながっていきます。
しかし、新メニュー投入や、既存メニューの見直しをするにしても、明確な基準がないといけません。人気がある、一品単価が高い、原価が低い などなど
様々な面から見ていく必要があります。
そこでおすすめなのが、メニューのABC分析です。
ABC分析とはそもそも・・・
在庫管理の手法として一般的なもので、飲食業界ではメニュー管理に用います。
出食数、売上高、粗利益といった三つの指標の中から一つ項目を選び、その項目に従ってメニューを分類し、分析するというもの。
▼分析手順▼
出食数、売上高、粗利高、の3つの要素とも手順は同様です。
・どのメニューが売れているか(出食数分析)
・どのメニューが売り上げに貢献しているのか(売上高分析)
・どのメニューが利益に貢献しているのか(粗利益分析)
それぞれ構成比の高いメニューを順に並べ、構成比の累計が75%となるまでのメニュー群をAランク。構成比の累計が75~90%を占めるメニュー群をBランク。残りの10%をCランクとします。
※ランチ営業とディナー営業はそれぞれ別に作成してください
※ドリンクとフードもわけてください
※コースやセットは、コース単位、セット単位で集計してください
通常、儲かっているお店の場合(居酒屋やバルのような追加オーダーが頻繁にある業態を除く)、Aランクに属するメニュー群は、総メニュー数の20~30%程度になっているはずです。要は、一部のメニューで売り上げの大半を作っているお店がほとんど、ということです。逆にそうなっていないと、メニューとしては弱い。看板メニューがない、ということです。
つまり、全メニューを細かくチェックするというのではなく、一部のメニューのブラッシュアップを徹底できれば、お店の収益全体が好転するといえます。
そして、このメニュー分析をふまえて、
儲かるメニュー
を育てていくと、
お客さんに喜ばれるお店
になっていくのです。
例えば、出食数は多い(人気メニュー)けれど、粗利が低いメニューの原価低減に成功して、人気メニューが出れば出るほど儲かるようになったお店が、このメニューがさらに評判を呼び超人気店になった。
また、粗利益高ランク上位のメニュー(儲かるメニュー)の魅力アップに力を入れ、人気に火がついて、看板メニューに育った結果、このメニューに惚れた多くのファン獲得に成功した。
といった事が、あちこちのお店で起こっています。
思い付きや、カンに頼るのではなく、客観的な数字に基づいたうえで方針を決めて取り組むのですから、まず間違いなく好結果が出ます。
“味守りプロジェクト”では、ご自身でメニューのABC分析ができる専用シートを用意しています。このコラムをご覧の方(味守りプロジェクト会員の方限定)で、セルフチェックをしてみたい方は
こちらまでどうぞ→ajimori@clock-work.net
メールの件名に「ABC分析シート希望」とご記載ください。
次回は、お店での成功例のご紹介や、メニューの改善に欠かせない値上げについてお伝えしたいと思います。
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