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第27話 集客UP実況中継 今時の勝ち方・戦い方(後編)

今回は、第26話に続き、2020年の売上がすべての月で前年を上回ったという、栃木県のビストロのお話をしたいと思います。

26話では、このお店は昨年春からいち早くテイクアウトメニューの拡充に取り組み、成果が出たというお話をしました。

そして、早く成果が出た一番の要因は、2013年4月の開業以来、欠かさず続けてきた、お店のFacebookページへの投稿だったともお伝えしました。 

2020年に前年超えを達成したオーナ-シェフの次の一手

オーナーシェフ(以下、オ)
「テイクアウトには確かな手ごたえを感じましたが、数字的にはまだまだでした。そこで、ウチの料理というか、お店を自宅でも楽しんでもらうにはどうしたらいいかを考えました。ウチはおかげさまで接客も好評いただけているようなので、そこを何とかテイクアウトに生かせないかと考ました。」

このお店の魅力は、小さなお店ならではのオーナーシェフやスタッフとのコミュニケーションの濃密さにあります。食材、料理、ワインとのマリアージュ等々、一言二言会話をするだけでも、ずいぶん食事やお酒がおいしくなるものです。そして、それがお店独自の(代わりのきかない)魅力になっています。だからまた必ず行きたくなる。

「夜のお客さんは、(喜ばしいことですが)『今日のおススメは何?』とか『この料理にぴったりのワインは?』など色々ご質問が多いです。そのやり取りの結果“おまかせ”も多かったりします。そこで、テイクアウトも『シェフお任せオードブルセット(1万円)』を週末限定で始めました。」

「さらに『料飲店等期限付酒類小売業免許』も取得し、ワインのお持ち帰り販売も始めました。こちらも、私自身が味の特徴とか料理との相性などを解説しておススメしています。すると6本とか9本といったまとめ買いをしてくださる方が続出しました。」

どちらもシェフの魅力が詰まった“このお店ならでは”のスペシャルメニューです。

「お任せオードブルセット」(テイクアウトメニュー)
箱買い続出!シェフアドバイス付きワイン販売
オードブルセットの人気をさらりとアピールしたFacebookページの投稿

また、情報発信もさらなる進化をしました。

「最近はLINEも使い始め、『おまかせオードブルセット』などのお知らせは、Facebookページに投稿する1日前に、50名ほどの常連さん限定で、LINEでメッセージを送っています。」との事。

このひと手間が大きい!当然ご予約や注文の入りもいいですし、なにより常連さんへの“特別なおもてなし感”がありますよね。

今後の戦略

オ「コロナに関してはまだまだ長期戦になると覚悟しているので、今後は、ケータリングサービスやデリバリー、さらに出張シェフといったような事も計画中です。」

このお店の“進化”は変異していくウィルスにも勝利することでしょう!


【土屋先生からの一言】

このお店がコロナ禍においても結果を出し続けてきたのは、まずは料理や接客のレベルの高さにありました。非常時に対するスピーディな対応・行動力も見事でした。(テイクアウト拡充やワイン販売など)

しかし、なんといっても決め手は、オープン以来欠かさず続けている

【Facebookページへの毎日の投稿】

第26話で実際の投稿を紹介していますのでご確認ください。

「お客さんとの定期的な接触」の一つの理想形といっていいでしょう。

さらなる成功要因としては、お店のもうひとつの魅力(おもてなし力)をテイクアウトにも反映させたおまかせオードブルや、シェフのアドバイス付きワイン販売。まさに“飲食店ならではのテイクアウト”(※)の実践です。

※詳しくは第24話をチェックしてください。

「この地域で、美味しい料理やワインで飛び切りの時間を過ごすなら〇〇だよね」イートインで確立しつつあった「特定の利用動機での一番」すなわち「お店のブランド化」をテイクアウトにも応用して成功しました。

このコラムの第1話でお伝えした、繁盛の二大法則をきっちり実践してくださっています。イートインもテイクアウトもそれは変わりません。参考にしていただければと思います。

「ビストロだからうまくいったのでは?」「日常的な定食屋や、気軽な居酒屋とは違うんじゃない?」決してそんなことはありません。アレンジは必要ですが原理原則は同じです。

そして何より、今や外食すべてが非日常です。いつものランチさえ特別なこと。今はそれをお家でいかに味わって&楽しんでいただくかを考えていただければと思います。

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