第132話 忘れられないお店になるために
2020年1月15日、我が国初の新型コロナウィルス感染者が確認されてから、3年以上の月日が経ちました。
その後の感染拡大によって、私たちの生活は、大きな変化を余儀なくされました。そしてその事が我が国の経済にも大きなダメージを与え、中でも最も大きな被害を被った業界の一つが外食業界でした。
そんな中、コロナ禍で苦しんでいる飲食店さんを支援するためにスタートした「味守りプロジェクト」も、この3月で2年10ヶ月を迎えました。
そして、マスク着用の考え方の見直しや、5類相当への移行など、新型コロナウィルス感染症への対策の緩和が進む中、当プロジェクトも一定の役割を終えたと判断し、2023年3月末日で終了することとなったのです。
※「味守りプロジェクト終了のお知らせ」の詳細はこちらをご参照ください→ https://ajimori.clock-work.net/useful/release-projectend/
私も3年間、このプロジェクトでコラムを毎週書かせていただきました。
これまで続けてこられたのも、「参考になりました」「毎週勉強になります」「元気をいただいています!」といった、読者の方々からの暖かいメッセージのおかげです。本当にありがとうございました。
そしてこのコラムもあと2回を残すだけとなりました。今週と来週は、最終回という事で、約3年間のコラムを通じて最も伝えたかったこと、これだけは覚えておいて欲しい事を書いていきたいと思います。
私土屋が最も伝えたい事
それは、
お客さんとの定期的な接触を徹底しよう
です。
リーマンショックの時も、東日本大震災の時も、そして3年に及ぶコロナ禍においても、数多くのお店で実証されてきました。
栃木のビストロ、千葉の焼肉店、東京のレストラン、長野の蕎麦屋、愛知のうどん店、大阪の和食店等々、質・量ともに充実した顧客リストを持っているお店は、一時的な落ち込みはあったお店もありますが、今も元気に営業しています。中にはコロナ禍でも売上を全く落とさず、昨対を超え続けているお店も存在します。
お客さんとの定期的な接触を徹底するうえで大事なのは
「お客さんとの距離を近く保つ」
「“あなただけ”感のある個別メッセージ」
この2点を意識していただく事です。
「お客さんとの距離を近く保つ」というのは、直接、間接問わず、いかにお客さんとの情報のキャッチボールをしているかです。そして、それができていれば、“あなただけ”の個別メッセージがきっと送れるはず。
アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱した有名な理論「熟知性の原則」によれば、人は、同じ人や物に接する回数が増えるほど、その対象に対して好印象を持つようになるものなのです。
そういう関係(お客さんとの距離が近い)が出来上がっていて、なおかつ、“あなただけ”の個別メッセージを送ることができると、
上得意客だけに送る120枚のはがきDMで150万円の売上を作ったりとか、
LINEでつながっている常連さんに、店主が好みに合わせたおススメメニューを紹介すると、ほとんどのお客さんが来店してくれるとか、
20個限定(1万5千円)のおせちが来店してくれた常連さんへの口頭のお知らせだけで完売してしまう、
なんて事が起こるものなのです。
また、手法やツールも一昔前なら、DMやニュースレターぐらいしかなかったものですが、スマホやSNSの普及とともに選択肢はかなり広がってきました。
ただし、取り組めば必ず成果が出るとは言っても、前提条件はあります。
それは、飲食店の基本である、QSC
「Quality(クオリティ)」=提供する料理や飲み物の品質
「Service(サービス)」=スタッフの接客
「Cleanliness(クレンリネス)」=お店の清潔感
が、競合他店に比べてそん色ないレベルにあるかどうかという事。
しかし、私がご相談に乗るお店のほとんどは、開業1年以上のお店です。今時QSCレベルが地域の競合店より劣っていて、お店が1年以上続けられる事はなかなかないので、この前提条件はまずクリアできていると私は判断しています。
しかし、いくら成功事例を紹介して、行動を促してもなかなか取り組もうとしない方や、途中でやめてしまう方が多いのも事実。
取り組めば必ず成果が出るとわかっているのに、なぜなのでしょう?
そこには、飲食店ならではの事情というか“壁”がありました。でもそれは、ちょっと意識を変え、やり方を工夫すれば解決できるものなのです。
そのあたりは次週詳しくお話したいと思います。
【土屋先生からの一言】
集客UP塾を立ち上げた15年ほど前、週刊メルマガが定期的な情報発信の核だった頃、セミナーや勉強会で“初めて”お会いする方の多くが、大変親しげに話しかけてくださり、ちょっと戸惑ったものです。これが私の「熟知性の原則」の実体験です。
それ以来「お客さんとの定期的な接触」を確信をもっておススメしています!
このコラムへのご意見、ご感想などをお待ちしております。
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または、味守りプロジェクトFBページまで