第125話 はじめの一歩 2

1/13(金)に公開したコラム122話に結構反響があったので、今回は「はじめの一歩 2」と題し、このままではまずい、と思っているのに、なかなか行動に移せないお店がどうやって【はじめの一歩】を踏み出したのかというお話を別のお店の事例を紹介しながら改めてお伝えしたいと思います。

※コラム122話はこちら

今回のお店は、名古屋名物“味噌煮込みうどん”を中心に、オーソドックスな定番メニューを提供している、いわゆる“昔ながらの”うどん屋さん。

地元の商工会議所さんのセミナーで私が講師としてお話させていただいた時に受講されたのがきっかけで、ご相談いただきました。

看板メニューは明確です。名古屋の老舗で長年修業されたご主人が精魂込めて作る“味噌煮込み”。ここ最近の“10年に一度の最強寒波”に見舞われた時などにはもってこいの体の芯から暖まる一品です。

しかし、このお店のご主人も122話の居酒屋の店主同様、何をアドバイスしても首を縦に振ってくれません。

5年以上売上がじわじわと下がってきているので、何とかしたいというお気持ちはあるのですが[お店のブランド化]も[定期的な情報発信]にも『ウチみたいな小さなうどん屋にそういうの必要でしょうか?』と懐疑的。

メニューも品名と価格だけの手書きの白黒の紙1枚。店内POPもポスターも一切ありません。

そこで私はちょっと方向を変えて質問しました

「しかし、この味噌煮込みの美味しさは感動レベルです。なんでこんなに美味しいかお客さんにもっと知ってもらいたくないですか?」

それについてはご主人もまんざらではないようだったので、私はたたみかけました。

「この味噌煮込みの美味しさの秘密を、少しでもいいのでお客さんに伝えましょう。」

そこで、“味噌”や“だし”へのこだわり、具体的な調合法などをまずお客さんに伝えました。かっこいいデザインも、上手い文章もありません。

ご主人手書きのポスター(というか貼り紙)をお店に貼っただけです。

すると、貼ったその日からお客さんの反応が変わりました。

帰りがけに『美味しかった』と言ってくれる人が増え、中には厨房のご主人に手を振って帰る人まで現れたのです。

お客さんというのは、そのお店の味が気に入って来てくれているケースが大半です。しかし、味が気に入っているといっても、だしは何でとって、味噌はどんな配合をしてこの味になった、なんて事がわかる人はめったにいません。

ではそれをお店が解説してくれたらどうでしょう。

たいていのお客さんはより美味しいと感じてくれるはず。「一杯の味噌煮込みうどんに、ここまで手間がかかっているのか」なんて感動してくれ、お店をもっと好きになってくれます。さらに知り合いにもお店を薦めやすくなります。

今時「美味しい味噌煮込みの店があるよ」なら、「ふーん」で終るかもしれないですが、「鰹節と鯵節(ムロアジ)からだしをとり、●●の赤味噌と■■の赤味噌を独自の配合でブレンドした、こくとまろやかさ抜群の味噌煮込みの店があるよ。」ときくと「いきたーい」となるんじゃないでしょうか。

つまり、新規のお客さんを今まで以上に連れてきてくれるようになります。

お客さんの反応がこれまでと違う。新しいお客さんも徐々に増え始めた。今度はご主人の気持ちに変化がおきます。

『もっと来て欲しい(繁盛したいから)』ではなく、

『もっと来て欲しい(お客さんの笑顔がまたみたいから)』

という気持ちになったのだそうです。(後日ご主人が語ってくれました)

キレイごとではなく、本心からそう思えるようになったのだとか。

そんな心境になったご主人が私に例の一言を投げかけました『次は何をすればいいですか?』

そこでさっそく、それまで全くやろうとしなかった、リスト収集とDMの定期的送付に取り組み始めたのです。それからの加速はまたの機会にお話しできればと思います。

今も安定売上をキープしているお店です。


【土屋先生からの一言

このお店がコロナ禍でも生き残っているのは、味噌煮込みの美味しさをお客さんに伝えた、ご主人手書きのポスター(というか貼り紙)をお店に貼った事がきっかけでした。

長引くコロナの影響、上がり続ける食材と光熱費など、今時の外部環境は厳しいものがあります。資金面においても厳しさを増しているかと思います。

色々お悩みはあると思いますが、ぜひ【はじめの一歩】を踏み出してください。まずはそこから始めましょう。ちょっとした変化や行動が、その後のお店にきっといい影響を与えてくれるはずです。


このコラムへのご意見、ご感想などをお待ちしております。

こちらまでお寄せください→ajimori@clock-work.net
または、味守りプロジェクトFBページまで