第119話 ビジネスは掛け算
先月25日に発表された、日本フードサービス協会の「外食市場動向調査」の最新の報告によれば、今年の10月は、外食全体として対前年比114.8%の売上となり、コロナ前の2019年との比較においても105.5%と2020年以降で初めてコロナ前を上回ったとの事。
新型コロナの「第7波」が比較的落ち着いてきた事で、イートインのお客さんが戻ってきました。同時期にスタートした「全国旅行支援」や「水際対策の大幅緩和」なども追い風になったと思われます。
これからピークを迎えるとも言われている「第8波」の動向もあり、まだまだ予断は許しませんが、国産初の飲み薬も先月承認され、12月からは順次医療機関で使用できるようになるとみられています。
すべての業種業態で良くなったとは言えませんが、全体で見れば、2020年から吹き荒れていた嵐がようやくおさまってきたと言って差し支えないのではないでしょうか?
という事で、今回は来る2023年に向け、ビジネスの基本のお話をしたいと思います。
まずは質問です。
「そもそも“ビジネス”とは何でしょうか?」
店舗向けに言い換えれば、
「お店の繁盛度合いを決めるのは“何”と“何”でしょうか?」
といったところ。
いかがでしょう・・・・・・・
実は『ビジネスとは』あるいは『お店の繁盛度合いを決めるのは』
「ビジネスモデル」 と「マーケティング」の掛け算
なのです
この定義、私が敬愛する経営コンサルタント、故・石原明先生の名言なのですが、まさに!という感じではないでしょうか。
イマイチピンと来ませんか?
実は、「ビジネスモデル」とか「マーケティング」といった“いわゆる”ビジネス用語は、よく使われているにもかかわらず、あいまいな解釈といいますか、理解にズレがあったりすることが結構多いように感じます。
まずこれらの用語について改めて解説しますと、「ビジネスモデル」とは
『商品を主体とした勝つための仕組み』
わかりやすい例としては「均一価格居酒屋」「食べ放題焼肉店」といったようなもの。
しかし、地域密着の飲食店の場合例えば、
「一日一組限定の絶品懐石料理の店」「記念日専門レストラン」
といったような、お店の強味を活かした“特定の利用動機”に特化した形が、競合が少なく勝ちやすいです。
そして「○○(特定の利用動機)ならあのお店」という評判が商圏内で確立されれば、“お店のブランド化”が進みます。
コロナ禍においても有名店や老舗といったいわゆるブランド店の集客が底堅いのは、この3年弱で多くの方が目の当たりにした事ではないでしょうか。
つまり、地域密着の飲食店の強いビジネスモデルとは。
「ビジネスモデル」
↓
『商品を主体とした勝つための仕組み』
↓
○○ならあのお店、という評判を確立すること
↓
【お店のブランド化】
という流れです。
次に「マーケティング」。この用語もなかなかに厄介です。専門書を紐解けばもっと詳細に解説されていますが、よくわからない、というのが私の本音。
現場で使いやすい実践的な言葉に置き換えると、
「マーケティング」とは『売りの仕組み』
要は売り方。テレビコマーシャルなどを使って大々的にプレゼントキャンペーンを実施し、見込み客を大量に獲得して、そこから自店の顧客を獲得していく。あるいは「商圏内の重点エリアを全戸訪問して営業し、集客につなげていく」といったようなスタイル。(あくまで一例です)
しかし、広告予算も人も限られている、地域密着店であれば、顧客リストを収集して定期的にお知らせを出すとか、地域コミュニティに溶け込んでつながりを広げて顧客を増やす、といったいわゆる接近戦で、お客さんとの距離を縮めて顧客化~常連化を目指すのが定石です。
つまり、地域密着の飲食店のマーケティングとは。
「マーケティング」
↓
『売りの仕組み』
↓
お客さんとの(精神的な)距離を縮めて、忘れられないお店になること
↓
【お客さんとの定期的な接触】
という流れになるかと思います。
【お店のブランド化】【お客さんとの定期的な接触】
この二つは私がこのコラムで一貫してお伝えしている、飲食店繁盛の二大法則そのものです。※詳しくはコラム第1話~15話 をご参照ください
また、さらに重要なのは“掛け算”であるという事。
一昔前なら「圧倒的な料理のクオリティ」とか「卓越した情報発信力」があれば、繁盛店の称号を得られたものですが、今はどちらもしっかり取り組む事が重要なのです。
【土屋先生からの一言】
お店の繁盛度合いを決めるのは、
ビジネスモデル と マーケティング の掛け算
このことをしっかり意識して、新しい年に向けて準備をしていただければと思います。
このコラムへのご意見、ご感想などをお待ちしております。
こちらまでお寄せください→ajimori@clock-work.net
または、味守りプロジェクトFBページまで