第115話 脱・忘年会

わが国で新型コロナの感染が始まってから3回目の冬を迎えます。12月と言えば忘年会やクリスマスパーティなど、一年を通じて飲食店の一番のかき入れ時といわれていました。

しかし、新型コロナの感染拡大によって状況は一変。多くの飲食店にとっては2020年、2021年と2年続けて“厳しい”12月となったのです。

そして、コロナ3年目の今年はどんな状況でしょうか?

まずは忘年会開催の最大の鍵となる、各企業の対応をみてみましょう。

10月上旬のアンケート調査によれば、忘年会を「開催しない」企業は61.4%との事。(東京商工リサーチ調べ、全国4,611社の回答を集計・分析)昨年の同時期の調査では約7割の企業が開催しないとしていたので、開催に前向きな企業がやや増えたようです。

とはいえ、まだまだ厳しい数字と言えるのではないでしょうか?会社の行事として定番だった忘年会は、コロナ前からの若い人を中心にした忘年会離れもあり、いわゆる従来型の「忘年会」は先細っている、というのが実情だと思います。

さらに、第8波の入り口と言われている今、新規感染者数の増加スピードが上がれば、各企業は忘年会の開催中止・禁止令を出すことになり、過去3年で一番高まっていたであろう忘年会開催ムードは、残念ながら一気に冷めてしまう可能性も十分考えられます。

以下、11月現在、私が聞いている状況をお伝えします。

九州沖縄地方【宴会場】

官庁関係の「忘新年会」の予約は今年も厳しいですが、その他の職種の忘年会の予約はここ3年では順調に頂いているようです。ただし、状況によってはキャンセルの可能性があるので、臨機応変の対応をしていきます。

九州沖縄地方【レストラン】

大口の予約が第8波の影響か、ここにきてキャンセルが出始めています。出張の中止(延期)に伴う開催中止の連絡も若干入っています。

中部地方【居酒屋】

忘年会対策、正直なところ非常に困惑しています。コロナも増えてきて第8波の到来の予感さえします。加えて物価高で食材費やランニングコストの高騰、少子化、最低賃金の上昇…人手不足…などなど課題山積みです。

全体的には非常に厳しい予感はします。あと数年したら、忘年会はほぼ無くなりグループ単位の慰労会になるのではないでしょうか?

関東地方【鉄板焼】

コロナですべてがかわってしまって、宴会等は皆無となり、ほとんどが、一人客、二人客となっています。それに合わせて、バイトの体制も少人数を続けているので、正直、いきなり忘年会が入っても、対応に苦しむような状況で、逆に「忘年会以外客」を狙っている状況です。

関東地方【レストラン】

オフィス街なので今年も大きい忘年会は期待できません。4~6人くらいの予約が中心で、常連さんの貸し切りは少し入って来てます。

中部地方【キッチン】

確かに年々減ってきており、最近では3月の歓送迎会の方が月間売上で上回るようになりました。

特にこの期間限定の宴会コースを用意するといった準備はせず、通常の宴会コースをご予約いただく形で望んでおります。

2022年11月現在、各地のお店でこのような状況です。ちなみにほとんどが個人店です。あなたのお店ではいかがですか?

一方、利用するお客さんの気持ちも見てみましょう。

あるテレビ局の調査(街頭で100名の男女にヒアリング)によると今年は、忘年会をやる人、やらない人がほぼ同数だったそうです。「去年も一昨年も我慢してきたから今年こそ」という方や、「まだまだ感染が心配だから参加しない」という方、さらに「従来のスタイルはもういらない」という方など意見は様々のようです。

私もいろんな方に聞いてみましたが、集約すると

「友人との小規模な集まりはいいけど、会社ではしたくない」

といった意見が大勢のように感じました。

コロナの状況は先が読めませんが、今確実に言えるのは「地域密着のお店は『脱・忘年会』を目指すべき」だと思います!

仮にコロナがおさまったとしても、忘年会の開催件数も開催規模も縮小傾向にあることは明らかです。

次回は、引き続き「脱・忘年会」というか『脱・宴会』について、各地の飲食店さんの取り組みや、私なりの考えをお伝えしたいと思います。


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