第63話 集客UP実況中継<最新> 兀々(こつこつ)

今回は、あるお店の昨年から今年にかけての“コロナ禍における取り組み”についてお話したいと思います。

現在進行形の案件なので、詳しくお伝え出来ない部分もありますが。そこはご容赦ください。

東海地方の某所、交通量が多い幹線道路沿い、いわゆるロードサイドに立地するお店。席数は60席。比較的大きな規模といっていいでしょう。

そのお店は定食屋さんです。夜も多少はありますが、朝から午後3時くらいまでの売上げが大半を占めるお店です。

地元産の新鮮野菜や、低ストレスな環境で育てた豚や鶏を使った料理が売り。また、一品一品がボリューミーなのも人気の秘訣です。

開業から約8年、ほぼ順調に売り上げを伸ばしてきましたが、昨年春からの新型コロナウイルス感染拡大の影響はこのお店にも及びました。

第1回目の緊急事態宣言が出された直後は、お客さんがまったくと言っていいほど来なくなり、一時的に売上を大きく落としました。

真っ先に取り組んだのが、新型コロナウイルス感染拡大予防対策の徹底です。

マスク着用や手洗い、アルコール消毒はもちろん、飛沫防止のためのアクリル板による間仕切りや、定期的な換気等々、安心して利用できるお店であるために、全力で取り組みました。

お盆明けぐらいから、テイクアウトにも参入しましたが、初めての試みということもあり、手探りでのスタートで、まずはかつ丼やカツカレーといったメニューを販売しましたが、当初売れたのは月に数個。すぐに売上に貢献するというわけにはいきませんでした。

当面の売上回復が見込めないため、原価の徹底的な見直しや、営業時間の短縮(9:00-18:00に変更、以前は9:00-21:00)等による人件費の削減などを実施し、ダメージをできるだけ軽くするための地道な努力は怠りませんでした。

しかし、2020年は最終的に昨年対比25.6%のダウン。コストカットだけでは売上の減少による収益悪化をカバーすることはできず、厳しい結果となりました。

明けて2021年、まずは、最大60席あった席数を思い切って20席減らし、40席に!席数を70%以下に減らしたことでソーシャルディスタンスをしっかり確保できました。

そして、元々昼が強いお店だったのですが、さらにランチに一点集中。メニューを拡大し、トータルでは人員削減を行いながら、ランチタイムには人員を増員。メリハリのある運営を行いました。

さらに、テイクアウトについても、麺類以外のほとんどのメニューをテイクアウトOKにし、さらに、店頭のメニュー看板やメニューブックなどでもテイクアウト可能なメニューが一目でわかるよう「テイクアウトマーク」を付けるようにしました。これにより、じわじわとテイクアウトの売り上げがアップ。

さらに、このお店は2018年の春からインスタグラムで、ほぼ毎日お店の情報を発信していました。(2020年1月時点でフォロワー約1,200人)

その方たちに向けたランチの新メニューアピールや、テイクアウト対応の事、お店の感染症対策の事、さらにはお店の窮状などについても正直に伝えていったのです。

すると、インスタグラムのフォロワーさんと思われる来店利用が明らかに増え、利用する方から声をかけていただくことも増えました。

特に、お店の窮状を訴えたメッセージについては、最初お店は否定的だったのですが、思い切ってストレートに現状を伝えたことで、常連さんにも響いたようで、顔見知りの方の利用頻度が確実にアップしたという報告をいただいています。

その間にも季節メニューや、既存メニューのブラッシュアップなど魅力アップの努力は毎日欠かさず行っていました。

感染が大きく拡大した8月後半はともかく、イートインのお客さんもずいぶん戻ってきた結果、2021年は2020年より11.4%のアップ(8月までの実績)

コロナ前の売上にはまだ届きませんが、お店としても手ごたえを感じているようです。

店舗の感染防止対策、原価や人件費のチェック・見直し、既存メニューのブラッシュアップや新メニュー開発、そしてSNSでの毎日の情報発信等々。

どこのお店も取り組んでいらっしゃることかもしれません。特別凄い取り組みをしているというわけではないかもしれません。

しかし、このお店の強味は、毎日それらを実践している事。一歩一歩着実に前にすすめている事。

兀々(こつこつ)-地道に諦めず少しずつ物事を進める様子

まさにそんな言葉がぴったりのお店です。

しかし、なんとかコロナ前の売上に戻したい・・・

そこで、さらなる対策をこれから打っていくところです。

このお店がどんな対策を打ち、成果はどうだったのか?

またこのコラムでご紹介できればと思います。


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