第35話 集客UP実況中継 リソース

リソースとは資源とか資産の意味。
今回は、2年以上昨対売上を下回り続けていたお店が、自店の“リソース”を発見したことで、復活を遂げたお話をしたいと思います。

そこは、山あいの小さな町に立地する、とある飲食店。ラーメン、定食モノ、カレー、甘味等々、様々なメニューを提供していて、何屋とはすぐには答えにくいお店。

画像はイメージです。

とにかく、メニュー構成に脈絡がありません。さらに、店前ののぼりや店内POP、手書きポスターなどもごちゃごちゃで、まさに“カオス”。

しかも、長引く不振で、ご主人含めスタッフのモチベーションも下がっており、お店の雰囲気もどんよりしていました。

ほぼ毎月赤字の状態で、数字的にもかなり重症といったところ。


実はこのお店、以前は強力な看板メニューを持っていました。それは五平餅(ごへいもち)。※中部地方の主に山間部に伝わる“郷土料理”

ひと昔前までは「地元で五平餅食べるなら〇〇」と評判の、いわば地域のブランド店でした。

しかし、食習慣の変化などで売上は下がる一方。そして、売れそうなメニューを片っ端から投入した結果、何屋だかわからなくなってしまったというわけなんです。

まずはメニュー分析。予想通り、核になるメニューが見当たらなかったのですが、昔ほどではないとはいえ、売上構成比のトップは五平餅でした。ここはあらためて五平餅のアピールに全力を注いでもらうことに。

「でも、それだけに絞って大丈夫でしょうか?」オーナーは心配そうでした。

土屋「メニュー自体を絞るわけじゃありません。ただ“五平餅のお店”という打ち出しを改めてしていきましょう。」

お店の入り口や店内なども、“五平餅のお店”をできるだけアピールしていただくようにしました。

そして、定石である、来店されたお客さんのリスト化&DM送付

さらに、月に2回『五平餅の日』を設け(10本買うと1本サービス)“五平餅のお店”を一層印象付けるようにしました。

これらの施策が少しづつ効いてきました。まだ前年を割りながらも、そのへこみ具合がかなり小さくなってきました。

しかし、問題山積のお店だけあって、なかなか一筋縄ではいきません。
ちょうど2ヶ月が経過した頃です。ご主人に焦りの色が見えてきました。

私はもう一度ご主人とじっくりお話をしました。

お店を継いだ時の事(この方は二代目です)、ご自身が小さかった頃のお店の話など、今だけでなく、お店の成り立ちをできる限り話していただきました。

そこには、長年地元に愛されてきたお店ならではの大変興味深い話がいっぱいでした。

そして、見つかったのです。このお店の“強味”が。


それは【歴史】。戦後間もない頃から70年以上“五平餅”を提供してきたという歴史がこのお店にはありました。

前述のように、かつてこのお店は『五平餅なら〇〇』といわれる地元のブランド店でした。

時代とともに、五平餅自体のニーズは減少したものの、地元のご高齢の方を中心にまだ根強い人気はあったのです。

強味は【歴史】というのは見えました。

しかし今このお店は、後発の競合店や、新業態のお店にお客さんをとられてしまっている状態。ただ【歴史】がある、とだけアピールしても響きません。


そこで、出てきたキーワードが

【復刻】

つまり、全盛期のメニューを復活させたり、当時をイメージしたお店づくりをしていったり、すべて【復刻】という切り口でアピールしていこうというもの。これによって、ご主人の気持ちにも迷いがなくなったようです。

メニューや販促のアイデアもブレがなくなり、表情も明るくなりました。オーナーがこういう状態になれば、お店にも活気が戻ってきます。

開業当時と同じ製法の「“復刻版”昭和の五平餅」は人気商品になりました。

考える軸ができたことで、苦手だったDMも、魅力ある文章が書けるようになりました。

サポートを始めて6ヶ月目、ついに前年売上を超えました!それからはほぼ毎月前年をクリア。

新型コロナウィルス感染拡大後も、元気に営業を続けているお店です。

【土屋先生からの一言】

もしあなたのお店が不調なら、まず考えてください。
ウチのお店の本当の魅力・強味は何なのか?
ウチのお店にはどんな【リソース】が眠っているのか?

あなたのお店というか、あなた自身の“心の棚卸し” をしていただければ、きっと見つかってくると思います。

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