第7話 DMの反応を飛躍的にアップさせるには

前回まで、繁盛飲食店に共通する二大法則の一つ「お客さんとの定期的な接触」について一通りお伝えしてきました。今回からは、もう一つの「お店のブランド化」についてお話ししていきたいと思います。

そしてこの「お店のブランド化」こそが、ハガキDMやLINEメッセージの反応を5倍にも10倍にもしてくれるものなのです。

情報洪水で様々な媒体やツールの反応が以前より落ちている今、「そんなことあるの?!」と思われる方も少なくないでしょう。

そこで「お店のブランド化」についてお話しする前に、ブランドのパワーの具体例をご紹介したいと思います。

【事例その1】

少し前の話になりますが、ブランドのパワーを正確に比較できる、非常に珍しいケースをご紹介します。

私が以前、地域ポータルサイトの会員向けメール広告配信システムのテスト運用のお手伝いしていた時の話です。ある時、愛知県名古屋市東部の2軒の洋食店が、メール広告のおためしサービスをまったく同じ日に利用しました。おためしということで配信数は一律1,000通。特典はどちらのお店も、注文時にメール画面を見せると「ランチが1割引」になるというものでした。

2軒のお店(仮にA店とB店とします)の結果は驚くべきものでした。

A店は1,000人中110名が来店。レスポンスは11%

B店は1,000人中12名の来店。レスポンスは1.2%

商圏も近く、業種も客層も近い2件のお店が同じ日に、同じ媒体を使って、ほぼ同じ内容の広告を打ったのに、この差は何か?

A店は地元で店名を言えばまず知らない人はいない、「洋食食べるなら○○だよね」と言われている“ブランド店”。一方B店は地元のファン客が足繁く通う、いわば“隠れ家店”。どちらも美味しいお店です。価格帯はほぼ同じ。しかし結果は・・・これがブランドのパワー。

【事例その2】

もう一つ事例をご紹介しましょう。名古屋市近郊のとあるレストランの最近の話。コロナ禍においてこのお店も客数減・売上減に悩まされ、今年の6月ごろからテイクアウトに注力。しかし、なかなか認知が進まないので、7月下旬に思い切って、地元のタウン誌に1/2ページの広告を出しました。すると、みるみるテイクアウトの予約が入り始め、8月には月商の25%を占めるほどに!イートインのお客さんも徐々に戻ってきて、8月はほぼ前年並みに回復したそうです。

タウン誌広告実物

広告を出したタウン誌がすごいのか?地元では力のある媒体のようですが、1回でこれほどの反応があるのは珍しいこと。
また、広告自体もご覧の通りいたって普通の広告です。
 
短期でこれほどの成果が出たのは、実はこのお店が、地域のブランド店になっていたからなのです。地元では、誕生日・結婚記念日・還暦のお祝い等々「記念日をお祝いするなら○○だよね」という評判がすでに確立されていました。
 
「地元のタウン誌に広告出せば、テイクアウトで売上減をあっという間にカバー」なんてことにはそうそうならないのでご注意ください。
 
まずはコツコツリストを集め、定期的に情報を発信し、そのうえで「お店のブランド化」を進める。これが地域に根ざした個人店や専門店の最も確実な成功法則なのです。
 
ではどうやって「お店のブランド化」に取り組めばいいのか?それは次回以降のコラムでお話しさせていただきます。